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2021年度政府予算の厚労省概算要求で要望書

2021年度政府予算の厚労省概算要求で要望書

【四病協】まずは新型コロナによる医療崩壊防ぐ予算必要

 四病院団体協議会は6月5日、2021年度予算概算要求に関する要望書を加藤勝信厚生労働大臣あてに提出した。2025年に向けた地域医療構想の実現や、2040年にかけての人口減少社会に対応した一層の取組みを強化すべきとしつつ、まずは、新型コロナの感染拡大による医療崩壊の危機を乗り越えるための予算が必要と主張。各項目にわたって、要望を行った。
 要望は以下の項目で整理している。◇新型コロナ関係◇消費税関係◇働き方改革関係◇医療従事者の能力向上関係◇介護施設、介護従事者関係◇地域医療介護総合確保基金関係◇医療機関のICT化関係◇社会の国際化等への医療の対応関係◇障害保健福祉関係◇災害対策関係◇調査研究関係(左記を参照)。
 新型コロナ関係では、医療機関の経営破綻を防ぐため、診療報酬上の配慮を含めた財政的補助を求めた。また、感染症のパンデミックを想定し、柔軟な財政支援が行える基金を創設すべきとした。医療費削減政策を取った国で、新型コロナの感染拡大により医療崩壊が生じたことを踏まえ、地域医療構想の実現に向け厚労省が推計した医療機能ごとのニーズに見合った病床数の見直しを主張した。
 消費税関係では、控除対象外消費税問題の抜本的な解決に向け、医療費を原則課税にすることを含め、検討を続けていくべきとした。実態調査などを行うための補助も求めている。
 医師の働き方改革関係では、医師の総数の増員が必要であることを強調した上で、医師の人件費に相当する部分について、診療報酬とは別の予算措置を要望した。そのほか、◇医療機関でのタスク・シフティング、タスク・シェアリングを推進するのに必要な人材確保と養成◇病院で働く介護職員の処遇改善◇看護職員等の離職防止策◇仕事と家庭の両立支援◇育児休暇─などの予算措置ならびに処遇改善を求めた。
 医療従事者の能力向上関係では、総合的な診療能力の獲得を促すキャリア支援事業を実施している病院団体に対して、経費補助を行うことを要望した。
 介護施設、介護従事者関係では、病院団体が監理団体となり、介護人材などの外国人技能実習生受入事業を実施していることを踏まえ、外国人介護人材の受入れの取組みに対する財政的支援を求めた。

病床ダウンサイジング支援の増額を
 地域医療介護総合確保基金関係では、消費税率引上げ財源を活用した基金の増額と、公私で隔たりのない資金の配分を要望した。2020年度政府予算で導入された病床ダウンサイジング支援については、全額国庫負担の継続と増額を求めるとともに、休床や許可病床からの削減でも国庫補助が行われるべきであるとした。
 医療機関のICT化関係では、医療情報化支援基金による電子カルテシステムなどの初期導入経費への補助金を要望した。生産性を向上させるICT・ロボット等の導入を促す予算措置も必要とした。
 社会の国際化等への医療の対応関係では、医療機関が外国人患者に対応するための人材(外国人向け医療コーディネーターや医療通訳)や設備などへの支援の拡充を求めた。
 治療と仕事の両立では、2020年度診療報酬改定で療養・就労両立支援指導管理料などで要件の緩和や充実が図られたが、さらなる支援のため、支援手段を診療報酬に限定せず、幅広い層を対象に予算措置を講じるべきとした。
 障害保健福祉関係では、精神科救急医療体制整備事業について、均てん化を図りニーズの増加に対応するため、事業費の拡充を要望した。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を促進するための事業の拡充、医療観察法における外来の新たな通院処遇基準の策定や予算確保も求めている。
 災害対策関係では、災害派遣精神医療チーム(DPAT)の資機材の整備に関し、災害拠点精神科病院以外の大部分の民間医療機関では自己負担となっていることから、補助が必要とした。災害拠点精神科病院設備整備事業の拡充や「災害拠点精神科病院の耐震整備等」の継続も要望している。DMAT事務局の強化と同様に、DPATの事務局事業費の大幅な拡充も明記した。
 病院全体の災害対策では、自家発電設備など非常用設備の維持管理は、診療報酬では賄われず、医療機関の経営を圧迫していることから、継続的な財政的支援を求めた。耐震改修の費用を調達できない医療機関に対しては、耐震対策緊急促進事業(国土交通省補助事業)の枠の拡大などを要望した。災害に際しての「被災地における心のケア支援体制の整備」「被災者に対する見守り・相談支援体制等の推進」の事業は今後とも継続し、公私の隔たりのない支援を行うべきとした。
 調査研究関係では、収支悪化が深刻な病院給食について、実態調査や各病院の取組み、地域の事情を考慮した対策などを研究するための補助を要望した。また、病院の外来・検査・手術・入院といった診療機能に、それぞれどれだけの人件費が発生しているかなどのコスト構造を分析するタイムスタディ調査の実施のための補助も求めた。

2021年度政府予算の概算要求に関する要望
Ⅰ 新型コロナウイルス感染症対策関連
1  感染防護用品、衛生用品等の確保
2  医療従事者への感染リスクへの対応
3  医療機関の経営破綻の防止
4  緊急時の感染症対策基金等の創設
Ⅱ 消費税関係
1  控除対象外消費税問題の解決までに要する予算措置
Ⅲ 働き方改革関係
1  医師の働き方改革に伴う医師確保に係る予算措置
2  医師の働き方改革に伴うタスク・シフティング、タスク・シェアリングに要する医療人材確保と育成に係る財政的補助
3  医療人材(介護・介助職員等)の処遇改善への予算確保4  ナースステーション、処置室、カンファレンスルーム、看護師等宿舎、院内保育施設等の整備
5  仕事と家庭の両立支援の推進(看護職員等再就業支援事業)
6  医療従事者の育児休暇に係る財政的補助
Ⅳ 医療従事者の能力向上関係
1  病院で働く医師の総合的診療能力開発支援事業
Ⅴ 介護施設、介護従事者関係
1  外国人技能実習生受入れ事業への補助
Ⅵ 地域医療介護総合確保基金関係
1  地域医療介護総合確保基金の十分な財源確保と公私の隔たりない配分
2  地域医療構想推進のための病床ダウンサイジング支援の充実
Ⅶ 医療機関のICT化関係
1  医療情報化支援基金による、電子カルテの標準化等にかかる初期導入経費への補助
2  医療人材資源を補完するICT・ロボット等の導入への財政的補助
Ⅷ 社会の国際化等への医療の対応関係
1  外国人患者の受入れ体制の整備
2  キャッシュレス決済等の多様な決済手段の整備
3  治療と仕事の両立
Ⅸ 障害保健福祉関係
1  精神科救急医療体制整備事業について、地域包括ケア体制の構築に向け、国の指針に示された指標評価に則った安定的で発展的な事業費の拡充
2 「 精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を促進するために必要な事業の継続
3  医療観察法における正当な通院医療の算定に資する予算
Ⅹ 災害対策関係
1  災害派遣精神医療チーム(DPAT)整備費の新設
2  災害拠点精神科病院設備整備事業の拡充
3  DPAT事務局事業費予算の大幅な拡充
4  震災及び火災時等において医療機関の非常用設備が適切に機能するよう当該設備の保守に係る財政的支援
5  病院の耐震化対応のための補強工事や建替えに対する財政的支援
6  震災・火災・水害等の災害からの復旧・復興への継続的な支援及び適時適切な支援を実施するための仕組み作りに関する予算の確保
Ⅺ 調査研究関係
1  病院給食に関する抜本的な構造の転換に係る研究のための財政的支援
2  病院業務に係るタイムスタディ調査

 

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