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主治医意見書作成の負担感の軽減に関する報告書

主治医意見書作成の負担感の軽減に関する報告書

【高齢者医療介護委員会】意見書の様式簡素化を提言

 介護保険における主治医意見書作成の負担感軽減に関する調査報告書がこのほど、高齢者医療介護委員会でまとまった。「主治医意見書作成の負担感の軽減に関する調査研究事業」で、2019年度の老人保健健康増進等事業として実施した。報告書は、主治医意見書の記載内容を減らし、様式を簡素化することを提言している。
 要介護認定における「主治医意見書の記載」は、医師の負担感の大きい業務となっている。調査研究では、主治医意見書を作成する医師を対象としたアンケート調査を行い、「作成の負担感が大きい」記載項目と、その背景を把握した。一方、主治医意見書を活用する側である介護認定審査会の委員や、介護支援専門員に対するアンケート調査も併せて行い、「介護認定審査会やケアプラン作成時に重視されている」および「記載が不十分と感じられている」記載項目と、その背景を把握した。

主治医の負担感を調査
 主治医意見書作成の負担感については、「過去に何度も診察したことのある外来の患者」「過去に診察したことのなかった外来の患者」「過去に診察したことのなかった入院中の患者」のそれぞれについて、初めて主治医意見書を作成する場合の、主治医意見書の各項目の「作成負担」の有無と、負担感の背景を聞いた。
 その結果、すべての記載項目について、「過去に診察したことのなかった外来の患者」について作成する場合が、他の2ケースに比べて、「作成負担が大きい」との回答が多かった。「過去に診察したことのなかった外来の患者」に関してより詳細にみると、「作成負担が大きいと感じる」との回答割合が特に大きいのは、「1(3)生活機能低下の直接の原因となっている傷病の経過」、次いで「1(2)症状としての安定性」であるが、入院中の患者や過去に何度も診察したことのある患者との比較でみると、「1(1)診断名」についての「作成負担が大きいと感じる」との回答が多かった。
 初めて診察する外来患者の場合、他科での診断内容やADL・認知症等の状況についての情報が十分に得られないことが多く、大きな作成負担感につながっていると考えられる。
 一方、医師にとっては、「過去に何度も診察したことのある患者」についての主治医意見書を書くことが大半であると考えられる。作成件数の多さという面では、「過去に何度も診察したことのある外来の患者」についての作成負担感についても、重視されるべきものと考えられる。
 一方、認定審査会委員は、介護認定審査会において直接に用いることの多い「1.傷病に関する意見」、「5.特記すべき事項」、および認知症に関する項目(3(2)・3(3))を重視する傾向が強いことがわかった。これに対して、介護支援専門員は、より広い記載項目を重視する傾向がある。「申請者欄(3)他科受診の有無」「4(1)移動」「4(2)栄養・食生活」「4(4)サービス利用による生活機能の維持・改善の見通し」などは、認定審査会委員・介護支援専門員のいずれについても、重視しているとの回答が少なく、相対的に関心度が低い項目と考えられる。

記載事項の一部削除を提案
 これらの調査結果から報告書は、主治医意見書の一部の項目について、「認定審査会委員」「介護支援専門員」のいずれからも、「特に重視している」との回答割合が小さい項目が見出されたと指摘。また、主治医意見書には、「2.特別な医療」「3(3)認知症の行動・心理症状」などの認定調査票とおおむね内容が重複している項目も複数存在する。
 このような「一次判定に用いられず」、「認定審査会委員や介護支援専門員からさほど重視されていない」項目や、「認定調査票の項目と類似性が高く、かつ客観的事実について記載する」項目等を中心に、主治医意見書の記載事項から削除するなど、様式の簡素化について検討する必要があると提言した。
 また、情報収集に関する支援について、特に当該患者について初めて主治医意見書を作成する場合には、他科診療分を含む傷病や、認知症、ADL の状況など、広範な情報や判断材料の収集の困難さが医師の大きな負担感につながっていると考えられるとし、医師が一から調査して記入するのではなく、クラーク等医師以外の職種が情報を整理して医師に提供すること等から医師の負担軽減を図り、より効率的に医師の意見書が作成できることが介護保険の運営に寄与すると提言している。
 なお、調査を通じて把握した情報をもとに、「注力して記載すべき情報内容」や「記載方法を工夫すべき内容」を整理し、主治医意見書の作成上の要点等をとりまとめた啓発資料を作成している。

 

全日病ニュース2020年7月1日号 HTML版

 

 

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    2013年11月18日 ... 傷病の急性増悪も含めた高齢者の急性期医療は従来型の生産年齢層を対象と ... その
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