全日病ニュース

コロナ患者受入れ協力医療機関などへの空床補助めぐり議論

【四病協・総合部会】「都道府県と協議し柔軟な取扱いに」猪口会長

　四病院団体協議会は6月24日、総合部会を開いた。厚生労働省が第二次補正予算の新型コロナ緊急包括支援交付金の説明を行った。今回の交付金事業では、空床確保の補助で重点医療機関、協力医療機関という区分が設けられ、４月１日に遡って、補助単価を大幅に引き上げた。院内感染防止対策の補助なども手厚くされており、参加者から様々な質問や意見が出た。
　第二次補正予算の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業（医療分）については、６月16日に一連の事務連絡が発出された。診療報酬で重症・中等症の新型コロナ患者への入院料などを３倍に引き上げたことにあわせ、空床と休止病床への補助も同水準に拡充するものだ。
　補助単価は、新型コロナ患者を受け入れる重点医療機関と、疑い患者を受け入れる協力医療機関でICU が30.1万円、HCU が21.1万円、その他が5.2万円。一般の医療機関はICU が9.7万円、重症者・中等症者病床が4.1万円、その他が1.6万円となっている。
　また、院内感染により、実質的に専用個室病床が確保されていると都道府県が認めた場合は、遡及して協力医療機関とみなされる。
　厚労省は、今後を見据えた新型コロナの医療提供体制整備において、都道府県内で、重点医療機関と協力医療機関を設定して、新型コロナ対応の役割分担を構築する考えを示している。ただ、これまでの新型コロナ対応では、一部病室を空けて、新型コロナ患者を受け入れる病院を確保する地域が多かった。新たな体制を目指すとしても、専用病棟の設定は難しいため、新型コロナ対応をやめてしまう病院が出てくるのではないかとの懸念が出た。
　また、協力医療機関が疑いのある患者のために病床を確保すると5.2万円（その他病床）であるのに対し、一般の医療機関による新型コロナの重症者・中等症者の病床確保だと4.1万円に下がるという、「役割分担を優先させることによるおかしさ」を指摘する意見もあった。
　終了後に会見した全日病の猪口雄二会長（写真）は、総合部会で様々な意見や質問が出たことを踏まえ、「新型コロナの医療提供体制は都道府県が中心になって作る。空床補助についても、都道府県の独自の補助とあわせ、柔軟な取扱いが可能であると思う。都道府県支部など病院団体の代表が、都道府県とよく相談し、補助金をうまく活用してほしい」と述べた。
　医療機関の医療従事者や職員に対する慰労金については、医療機関が外部委託する調理や清掃業者の職員も「給付の対象となることが確認された」と猪口会長は説明した。