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ホーム全日病ニュース(2020年)第970回/2020年9月1日号新型コロナへの対応と医療機関への影響を厚労省が整理

新型コロナへの対応と医療機関への影響を厚労省が整理

新型コロナへの対応と医療機関への影響を厚労省が整理

【中医協総会】小児科と耳鼻咽喉科の患者数が激減

 厚生労働省は8月19日の中医協総会(小塩隆士会長)に、新型コロナへの対応とその影響を論点とし、資料を示した。資料では、全日病、日本病院会、日本医療法人協会の3団体の病院経営状況調査の結果を含め、これまでの経緯や患者数の変化の状況などが示された。これまで大量に出してきた事務連絡なども時系列で整理している。
 新型コロナの国内の発生状況をみると、8月17日24時時点で、上陸前であるクルーズ船事例を除き、陽性者数は5万6,685人、入院治療等を要する者は1万3,062人、うち重症者は243人、退院または療養解除となった者は4万2,284人、死亡者は1,115人、確認中は240人、PCR 検査実施人数は121万4,145人である。
 重症者割合は80代以上が5.8%、70代以上が3.9%、60代以上が4.9%、死亡率は80代以上が19.9%、70代以上が9.5%、60代以上が2.9%となっている。
 新型コロナは医療現場に様々な影響を与えている。感染拡大を防止するため、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2.2版」では、個人防護具や換気など新型コロナ患者を診療する上での情報を整理し、新型コロナウイルス感染症対策推進本部は医療提供体制における対応を定期的に、事務連絡している。
 学会からは、例えば、日本消化器内視鏡学会は、新型コロナ患者等に対して、「緊急性のある場合においてのみ消化器内視鏡診療の施行を推奨」し、日本麻酔科学会は全患者の気道操作中の「医療義務基準を高めることを推奨」する。このように、すべての医療機関に対して、新型コロナを踏まえた様々な対応が要請されている。

新型コロナによる患者減の状況示す
 患者の受療行動も変わった。社会保険診療報酬支払基金と国保連合会を合わせたレセプト件数では、対前年同月比で、医科は3月が89.8%、4月が81.0%、5月が79.1%に下がっている。入院は3 月が96.2%、4 月が88.6%、5 月が85.7%、外来は3 月が89.6%、4月が80.8%、5月が79.0%で、入院・外来とも減少しているが、外来の減少幅の方が大きい。
 診療科別では小児科と耳鼻咽喉科で特に減少幅が大きいことが確認されている。最も下がった5月の対前年同月比は、小児科で53.9%、耳鼻咽喉科で58.3%である。下げ幅の大きい順にみると、次いで眼科が67.6%、内科が75.2%、外科が78.1%、整形外科が80.5%、産婦人科が89.3%、皮膚科が97.4%となっている。また、地域別では、3月以降は、特定警戒都道府県の減少幅が全国よりも大きい。
 病院と診療所の比較では、若干診療所の減少の方が大きい。
 訪問看護ステーションの報告でも、半数以上(52.4%)が「全体的に訪問回数が減った」と回答している。訪問回数が減った理由としては、「家族・利用者の意思」との回答が最も多い。
 また、新型コロナの特例対応では、新型コロナ患者などを受け入れ、特定集中治療室管理料などと同等の人員配置とした病棟は、簡易な報告により、該当する入院料を算定できることを、4月18日付けで事務連絡している。簡易な報告による入院料の算定をみると、累積で、ハイケアユニット入院医療管理料が4,751床、救命救急入院料が839床、特定集中治療室管理料は552床、総計が6,142床となっている。

 

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