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ホーム全日病ニュース(2020年)第970回/2020年9月1日号保健所とかかりつけ医の連携、PCR検査で質問

保健所とかかりつけ医の連携、PCR検査で質問

保健所とかかりつけ医の連携、PCR検査で質問

【衆院・厚生労働委員会】安藤議員が新型コロナウイルスに関連して政府の見解を問う

 安藤高夫衆議院議員(自由民主党・全日病副会長)は8月19日の衆院・厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症に関連して、保健所とかかりつけ医の連携やPCR検査の拡充について質問した。
 新型コロナウイルス感染症の軽症者・無症状者の多くは、ホテルや自宅で療養している。安藤議員は、かかりつけ医が療養中の患者の情報を得ようとしても、個人情報であることを理由に保健所の対応が遅く、「診療の障害になっている」と指摘。見解を求めた。
 厚生労働省の正林督章健康局長は、自宅療養・宿泊療養中の患者に対するフォローアップが重要とした上で、都道府県に対し、患者のフォローアップ体制を整備するよう要請していると説明。「フォローアップ業務は医師会等に委託することを想定しており、地域の医師が必要な情報を把握することが可能である」と答えた。
 一方、保健所の負担軽減が課題であるとし、自治体に対し、外部委託が考えられる保健所業務のリスト化、ICTを活用した保健所業務の効率化などの支援を行っていることを報告した。都道府県に対しては、全庁的な協力体制の下、必要な人員体制を確保するよう要請していることを説明した。
 安藤議員は、情報連携がしっかり行われることによって、保健所業務が軽減されると指摘するとともに、個人情報に関しては患者とかかりつけ医が事前に書面で契約を結ぶことが有効ではないかと提案した。

PCR検査の全例実施を求める
 続いて安藤議員は、PCR検査体制の拡充について質問。院内感染やクラスターを防ぐために医療機関・介護施設の入院・入所時にPCR検査や抗原検査の全例実施を求める声があることを紹介し、厚労省の見解を求めた。
 正林健康局長は、入院患者や施設の入所者は重症化リスクが高いことから、感染対策の強化が重要とした上で、医療機関や高齢者施設で感染者が発生した場合、感染が疑われる者へのすみやかな検査を実施することが重要と説明した。また、医師が必要であると認める場合には、施設の入所時に検査の実施を可能とする取扱いを示していると述べた。
 その一方で正林局長は、全例PCR検査を実施することについては、PCR検査が100%の感度を持たないことから、医療資源を圧迫するおそれがあるほか、本来必要のない行動制限を強いるおそれもあることに留意する必要があると述べた。
 これに対し安藤議員は、職員を含めて定期的な検査の必要性を指摘した。その上で、医療機関への補填、医療法人への寄付の税額控除、精神科救急病院の絞り込みを含めたコロナ交付金に対する都道府県のローカルルールの是正について言及した。
 最後に安藤議員は専門医の育成について質問。地方の大学では、リハビリテーションの講座がない大学があると指摘し、地方で専門医を育成できない事情があるなら都市部で教育すべきという声があることを紹介し、見解を求めた上で、厚労省内にリハビリテーションを扱う部署があるとよいのではないかと提案した。
 厚労省の迫井正深医政局長は、日本専門医機構では、通常のシーリングとは別に、都市部と地方の両方で研修を行うことができる連携プログラムで採用するなど、診療科と地域医療に配慮した研修が行われていると説明し、実情を丁寧に把握しながら、取り組みたいと答えた。

 

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全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2020.7.1 No.966

    https://ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200701.pdf

    2020年7月1日 ... 安藤高夫衆議院議員自由民主党・. 全日病副会長)は6月3日の衆院・経. 済
    産業委員会で、新型コロナウイルス. 感染症の拡大により厳しい状況に置か. れて
    いる医療機関や介護事業所に対す. る支援策について質問した。

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