全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2020年)第970回/2020年9月1日号中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して④
初めてのオンライン支援を実施して

中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して④
初めてのオンライン支援を実施して

中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して④
初めてのオンライン支援を実施して

岩渕泰子(病院機能評価委員会 特別委員、看護アドバイザー)

 本来なら2020年7月29日に樫村病院を訪問し、ケアプロセスを中心に医療機能評価受審の支援をする予定であった。
 しかしながら、6月末より新型コロナウイルス陽性者が徐々に増え、7月中旬には、東京都は200名越えの感染拡大の状況が続き、また、香川県ではクラスターが発生したため、病院側の要請で急遽オンラインによる支援に変更した。
 当日は14時から看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・事務の方々が参加し、自己紹介と打ち合わせ後、1領域の看護領域に関する合同面接から始めた。説明と同意については、方針・基準・手順書を現在作成中であったが、説明の範囲や同席者のルールも明確にして、遵守することが望まれる。医療安全管理については、事前にマニュアルを送って頂き確認できたため、細かな点まで話し合うことができた。医療安全管理指針の若干の修正、医療機器安全管理体制組織図は医療安全管理体制組織図に変更、さらに医療安全管理規定の審議事項へ研修に関する事項の追加、インシデント・アクシデントレポートの提出しやすい工夫、分析手法の理解と指導の必要性等をアドバイスした。臨床倫理の方針については、患者様の権利とした方が良い文面が見受けられたので検討が必要と思われた。
 次に、PPTで2領域に関する説明を行い、樫村病院の場合は1病棟をじっくり確認する方向であることや電子カルテをスムーズに作動できない場合を想定し、紙で出力しておいても良いことを説明した。
 続けて症例に沿って、ケアプロセス調査を実施したが声が聞こえなくなったりすることが度々あり、オンラインでの支援の難しさを感じた。誤認防止については、入院患者の場合は明確であったが、外来患者の場合や検体の場合においても明文化して周知することが望まれる。また、マーキングやタイムアウトについても明確な手順が必要である。フェイスシートには、延命治療の有無を数項目記載していたが、ACPとの関連とは異なる情報収集であると説明があったため、地域包括ケア病棟はACPが診療報酬の加算要件になっていることから、指針等の確認を促した。他に、急変時の対応やリスク評価、症状緩和、身体拘束等についてのやり取りができた。
 オンラインでは電子カルテの確認が思うようにできなかったが、本審査では記録を確認しながら進めるので、記録は重要であることを認識して頂きたい。
 その後、iPadを利用し病棟の概要説明が行われた。ある程度整理はされていたが、感染性医療廃棄物にはバイオハザードマークを貼付し、汚物処理室には「関係者以外立ち入り禁止」の掲示が必要と思われた。また、救急カートの鍵管理および麻薬保管庫の鍵が誰でもわかるところに入れており、早急の対応を望みたい。

すでに改善活動は始まっている
 オンラインでの支援は、実際に目と目を合わせて行う場合と違い、こちらの思いが十分に伝わらないのではないかと少々不安だったが、参加者の一生懸命さが伝わり、ある程度の理解はされたものと思う。終了時間が18時30分まで延長したが、病院スタッフの前向きの対応から、すでに改善活動は始まっており、確実に質は向上していると推察する。新型コロナ感染症の収束を願い、本審査前に一度訪問できたら嬉しく思う。

 

全日病ニュース2020年9月1日号 HTML版