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地域医療研修の半年への拡大に「時期尚早」との意見相次ぐ

地域医療研修の半年への拡大に「時期尚早」との意見相次ぐ

【医道審・臨床研修部会】シームレスな医師養成と区別した議論を求める

 医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会(國土典宏部会長)は9月4日、卒後臨床研修の地域医療研修の期間拡大をめぐり、議論した。委員の多くは、いわゆるスチューデント・ドクターの法的位置づけや診療参加型臨床実習の仕組みが整ってから検討すべきで、「時期尚早」と主張した。また、研修医を受け入れる医療機関側の考えも聞く必要があるとの意見が出た。地域医療研修については、全国知事会などが期間拡大を要望している。同日は、結論を出さず、引続き議論する課題とした。
 現行の卒後臨床研修は、地域医療を含む7診療科が必修となっており、地域医療研修は4週間が課される。卒後臨床研修は2020年度から大きく見直されたが、地域医療研修は「1カ月」を「4週間」に変える微調整で、外科、小児科、産婦人科、精神科が選択必修から必修に変更になっている。また、これらの義務は4週間だが8週間が望ましいということも明記されている。
 一方、全国知事会や自治体病院の団体は、地域の医師不足解消のため、大学高学年と初期臨床研修の期間で、医師少数区域などでの研修を「半年間以上」とすることを求めている。同日の部会では、この要望を受け、地域医療研修の期間拡大を議題とした。
 ただ、大学高学年と初期臨床研修の期間については、医師偏在対策とは別に、シームレスな医師養成に向けた改革として、いわゆるスチューデント・ドクターの法的位置づけや診療参加型臨床実習の仕組み作りが進んでいる。その制度化に向け、来年の通常国会に法案提出を予定している。
 法案が成立しても、その後、医師国家試験や医学教育の詳細を詰め、具体化していく必要がある。また、制度が具体化されても、シームレスな医師養成を達成するには、医学生から医療を受ける患者の理解を含め、様々な課題がある。
 全日病副会長の神野正博委員は、「前提条件として、まずはシームレスな医師養成を実現させないと、地域医療研修の期間拡大の議論には移れないのではないか。いきなり半年間とするというのは、順番として早すぎる」と述べ、「時期尚早」との見方を示した。
 また、「受け入れる病院にとっても、指導医の確保など体制整備に様々な負担が生じる。地域は医師が来てくれることを望んでいるが、もっと出来上がった医師に来てほしいという思いがある」と述べた。
 他の委員からも、地域医療研修の期間拡大は、シームレスな医師養成が一段落してからの課題であるとの意見が相次いだ。日本医師会の羽鳥裕委員は、「スチューデント・ドクターや診療参加型臨床実習の議論がまだ十分に進んでおらず、初期臨床研修と違って義務ではないが、むしろ専門医研修や専門医の更新の条件で考える方法もある」と提案した。

重点プログラムの対象者を明確化
 「地域枠」の医学部卒業生を対象とし、2022年度から始まる「地域医療重点プログラム」については、対象者を明確化した。「地域医療重点プログラム」は、「地域枠」の研修医が、臨床研修病院とマッチングできず、従事要件の地域で研修を受けられない可能性があるため、通常のマッチングに先行して選抜するもの。ただ、「適正な競争が行われない」との異論も出ている。
 対象者は「都道府県が奨学金を貸与し、かつ医師少数区域等での従事要件が課されており、地域医療対策協議会が地域医療重点プログラムで選考を行う必要性を認めた者」とした。医師需給分科会で決めた「地域枠」の定義にならい、対象を厳格化した。
 そのほか、2022年度から始まる臨床研究における基礎研究医プログラムについては、初回定員である40名を超える場合の大学定員の割り振り方を決めた。さらに、大学院に入学していなくても、基礎医学系の教室に所属することを可能とする。また、新型コロナ対応では、臨床研修病院の指定継続における実地調査の基準を緩和するとともに、調査手法もWEBを併用するなど柔軟なやり方を認める。

 

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  • [1] 病院のあり方に関する報告書 (2015-2016年版)

    https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/arikata/2015_2016_arikata.pdf

    医療行為や医療制度に関する研修も必修化し、. MSW としての資質向上に係る
    新たな認定の ... 国の HL- 7規格下情報をシームレスに連携する. システムが、一
    部の都道府県や ... 端末をシームレスに病院システムに接続するこ. とが可能と
    なる。

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