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ホーム全日病ニュース(2020年)第971回/2020年9月15日号審査基準の統一化に向け検討会が初会合

審査基準の統一化に向け検討会が初会合

審査基準の統一化に向け検討会が初会合

【厚労省・審査支払機能の検討会】

 厚生労働省の審査支払機能の在り方に関する検討会(菊池馨実座長)は9月2日、初会合を開いた。社会保険診療報酬支払基金(支払基金)と国民健康保険団体連合会(国保連)のレセプト審査における不合理な差異の解消と、両者の審査支払システムの効率的な運営のあり方を議論し、年度末にとりまとめを行う予定だ。
 政府が今年7月に閣議決定した規制改革実施計画では、審査支払機能のあり方について、「2024年予定の国保総合システムの更改に向けて、厚生労働省・支払基金・国保中央会は定期的に情報連携等を行い、審査基準の統一化、審査支払システムの整合的かつ効率的な運用を実現するための具体的工程を明らかにする」ことを令和2年度中に実施すると決定した。
 これを受けて、厚労省は審査支払機能のあり方に関する検討会をスタートさせた。構成員には、保険者・医療関係者のほか、規制改革会議の委員・専門委員である有識者が複数参加している。
 初会合では、現在、予定している審査支払機関改革を確認した上で、各委員が意見を表明した。
 審査の不合理な差異を解消する方向については、「審査の差異をなくすのは難しい。解消すべき『不合理な差異』の具体例を示してほしい。その差異が不合理だと判定する基準も示すべき」との意見が出された。「支払基金と国保連では審査するレセプトの疾病構造が異なり、単純に片方の基準を他に当てはめ統一するのは早急だ」との指摘も出された。
 厚労省は、次回以降、具体例を示しながら、審査の差異解消の議論を進める方針だ。

システムの効率的運用を議論
 支払基金は来年9月に審査支払の新システムを稼働させる。一方、国保連が現在使用している国保総合システムは更改時期を2024年に迎える。
 委員からは、「先に開発される支払基金の新システムを、国保連が活用することが重要だ」との声があがった。
 日本精神科病院協会の平川淳一委員も、「審査支払のシステムを国が1つ作り、それを国保連と支払基金が使うことはできないのか。2つのシステムを進めるのは無駄だ」と主張した。
 他方、国保総合システムは介護保険などの他制度と連携しているため、審査支払に関するシステムの見直しには費用がかかるとして、大幅なシステム変更に懸念を示す意見も出された。
 一方、規制改革実施計画にも記載されている、審査員が在宅でレセプトを審査する仕組みについては賛否両論があった。
 在宅審査の仕組みの具体的な検討を進めるよう求める意見があったのに対し、「自宅や医療機関・薬局で、他の人に見られずに安全にレセプトを審査できる環境を整えることには課題がある」として、慎重な姿勢を示す委員もいた。
 次回は支払基金と国保中央会からヒアリングを行う予定。検討会のとりまとめは、年度内を予定している。

 

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