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ホーム全日病ニュース(2020年)第972回/2020年10月1日号中等症Ⅱの新型コロナ患者への診療報酬増額

中等症Ⅱの新型コロナ患者への診療報酬増額

中等症Ⅱの新型コロナ患者への診療報酬増額

【中医協総会】救急医療管理加算3倍を5倍に

 中医協総会(小塩隆士会長)は9月14日、持ち回り開催により、新型コロナ患者への治療に対応した診療報酬の特例を了承した。一般病棟などに入院する中等症以上の新型コロナ患者に対する救急医療管理加算の3 倍相当(2,850点/日)の加算について、呼吸不全となる中等症Ⅱ以上の患者に対しては、5倍相当(4,750点/日)を加算できるようにする。
 新型コロナ患者への診療報酬の特例では、重症患者だと特定集中治療室管理料や救急救命管理料、ハイケアユニット入院医療管理料を算定する病床に入院することが想定され、各入院料の3倍の診療報酬が加算できる。
 一方、中等症患者の場合、急性期一般入院料1など一般病棟での入院が想定される。その場合、入院料ではなく救急医療管理加算1(950点/日)の3倍の診療報酬を加算できる。
 今回の対応は、中等症患者の中で、呼吸不全兆候のある中等症Ⅱの患者への診療報酬を手厚くするもの。中等症Ⅱの患者は、診療や巡回の頻度増に加え、頻回の検査が必要になる。いったん人工呼吸器を離脱できても、臨床経過中のいずれの時点でも、病状が急速に悪化することがあるからだ。
 このため、中等症の患者への対応として評価していた「1日3回のバイタルチェック」、「一般血液、生化学、尿検査の実施」、「抗ウイルス薬投与の検討」のほかに、敗血症・多臓器不全の併発を念頭に、「酸素療法の開始」、「動脈血液ガス分析・画像検査等の実施」、「ステロイド薬等の投与を検討」の評価を加えた。これに相当する評価として、救急医療管理加算の3倍の点数を5倍の点数に引き上げた。
 中医協委員からは、診療側・支払側の双方から賛意が示された。ただ、支払側の委員からは、「これまでの対応と同様、5倍とする根拠が定性的な理由にとどまっており、定量的な根拠が示されていない」(吉森俊和委員・協会けんぽ理事)といった指摘が出た。
 なお、今回の特例は、予備費を活用した一連の新型コロナ対策の一環で、9月14日に厚生労働省と財務省が合意し、国費10億円を措置した(2面参照)。

 

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