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ホーム全日病ニュース(2020年)第972回/2020年10月1日号2022年度診療報酬改定に向け入院医療の調査項目を了承

2022年度診療報酬改定に向け入院医療の調査項目を了承

2022年度診療報酬改定に向け入院医療の調査項目を了承

【厚労省・入院医療等分科会】新型コロナの影響どう勘案するかで様々な懸念

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は9月10日、2020年度診療報酬改定後、初めてとなる分科会をWEBにて開いた。新型コロナの影響を勘案しつつ、2020年度改定の入院医療の見直しの影響を検証し、2022年度改定に向けた議論を行う。全日病会長の猪口雄二委員は日本医師会副会長として、新委員に就任した。津留英智常任理事は、神野正博副会長の後任として、分科会に加わった。
 分科会の当面の課題は、2020年度改定の附帯意見に盛り込まれた項目のうち、入院医療に関わる項目の影響調査を実施し、検証・評価することだ。猪口委員は、「6月まで中医協委員だったので、入院医療等分科会の調査結果がいかに重要であるかはわかっている。2022年度改定に向け、議論に協力していきたい」と挨拶した。
 調査は、2020年度と2021年度の2回に分けて実施する。
 2020年度調査は、①「重症度、医療・看護必要度」の施設基準等(その1)②地域包括ケア病棟入院料と回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等(その1)③療養病棟入院基本料等(その1)④医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態─となっている。
 2020年度調査は、11月までに調査票を作成し、11 ~ 12月に調査を実施。分析を行った上で、3月以降に分科会に報告される。
 ただし、「重症度、医療・看護必要度」の施設基準、地域包括ケア病棟入院料と回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件の見直しについては、2020年度改定後、半年間の経過措置があり、10月1日以降も、新型コロナの影響を考慮し、3月31日まで半年間、経過措置が延長されることになった。
 このため、経過措置が設定されている項目は、経過措置終了後に調査期間を設けることを原則とし、それを踏まえて、2021年度の調査項目を設定する。
 2021年度調査は、①「重症度、医療・看護必要度」の施設基準等(その2)②特定集中治療室管理料等③地域包括ケア病棟入院料と回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等(その2)④療養病棟入院基本料等(その2)─となっている。
 2021年度調査は、2021年5月までに調査票を作成し、6~7月に調査を実施。分析を行った上で、9月以降に分科会に報告される。例年、10月以降に、中医協総会で診療報酬改定の本格的な議論が行われる。

新型コロナの影響をどう織り込むか
 これらの事務局案に対し、猪口委員は、「新型コロナが、特に急性期の病院に大打撃を与えている。入院や検査・健診の延期、受診控えが起きており、従来の医療と変わってしまった。調査を実施しても、とても従来の調査結果と比較できる正確な値が出てくるとは期待できない。新型コロナと2020年度改定の影響を切り分けて把握することができるのか」と厚生労働省に質問した。
 厚労省はまず、「データに基づく議論を行うため、調査結果は2022年度改定を行う際の重要な資料になるので、協力をお願いする」と述べた。その上で、「新型コロナの影響をどう織り込むか。現時点できちんとした回答はできないが、次回、調査票案を示すので、それに沿って答えたい。例えば、新型コロナ患者の受入れの有無などは施設を区別して把握する」と説明した。
 この説明に対し津留常任理事は、「新型コロナ患者の受入れの有無だけでなく、重点医療機関なのか協力医療機関か、重症者を受け入れているのか、あるいは軽症者ばかりなのか、によっても異なるのでその調査評価は難かしい。ただ、調査票が複雑になり過ぎることが無いように配慮が必要」と述べた。
 また、猪口委員は、2020年度改定の附帯意見の「急性期の医療の標準化を進めるため、病院ごとの診療実態を把握するとともに、医療資源投入量等の指標とその活用方法について引き続き検討する」との文言に対し、分科会でどこまで議論するのかを質問した。
 厚労省は、DPC評価分科会が前回改定時から入院医療等分科会に吸収され、DPC/PDPSについては、DPC/PDPS等作業グループで詳細な分析を行い、その結果を入院医療等分科会で議論した上で、総会に報告したという経緯を説明。2022年度改定でもそのような方法を踏襲する方針を示した。
 DPC/PDPS については、DPC対象病院が増加し、様々な機能の病院が加わっている中で、DPC/PDPSにふさわしい医療機能を精査し、それに当てはまらないDPC対象病院を退出させるルールを作る方針が示されていたが、2020年度改定では具体的な検討は進まなかった。
 元DPC評価分科会長で千葉大学副学長の山本修一委員は、「DPC/PDPSの分析により、パンドラの箱が開きかけた。開きかけた以上、進めなければいけないが、いろいろなハレーションが生じる可能性があるので、しっかりと対応すべき」と述べた。

 

全日病ニュース2020年10月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年6月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170615.pdf

    2017年6月15日 ... るワーキンググループ」(尾形裕也座. 長)は6月2日、 ... 中医協の DPC 評価
    分科会(小山信. 彌分科会長)は5月 ... ただ、全日病. 副会長猪口雄二委員は、
    「医師事務 ... 後任を診療報酬実務者会議の委員から. 選出した。

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年8月1日号)

    https://ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200801.pdf

    2020年8月1日 ... 全日病からは神野正博副会長が出席 ... 中医協では、診療側の委員も製薬企 ... 座長
    には尾形裕也・九州大学名誉教授 ... 発行所:公益社団法人全日本病院協会/発行
    人:猪口雄二/〒 101−8378 東京都千代田区神田猿楽町 2−8−8 ... 厚生労働省
    の医道審議会医師分科会 ... 猪口会長後任の中医協委員に池端氏.

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