全日病ニュース
予備費を活用した医療機関支援策を決定
予備費を活用した医療機関支援策を決定
【政府】経営悪化に対しては資金繰り対策を拡充
政府は9月8日、一般会計の予備費を活用した新たな新型コロナ対策を閣議決定した。医療機関への支援では1兆1,946億円を計上。新型コロナ患者の病床確保やインフルエンザ流行期への備えのほか、診療報酬の引上げや医療機関の資金繰り支援などを盛り込んだ。また、第一次、二次補正の予算執行で都道府県に差があると全日病などが指摘したことを踏まえ、統一的で迅速な執行のため、国が直接給付する。
今回の対策の柱は3つ。①新型コロナに対応する医療機関への支援②インフルエンザ流行期への備え③地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援である。
具体策は、◇新型コロナ感染症患者の病床・宿泊療養体制の整備(7,394億円)◇新型コロナ患者を受け入れる特定機能病院等の診療報酬・病床確保料の引上げ(1,690億円)◇インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援(2,170億円)◇インフルエンザ流行期に感染症疑い患者を受け入れる救急医療機関等の支援(682億円)◇医療資格者の労災給付の上乗せを行う医療機関への補助(10億円)◇福祉医療機構の無利子・無担保融資等の拡充─などがある。
今回の対策は、第一次、第二次補正の執行が始まったばかりの状況であり、予備費の活用をめぐり財務省と厚生労働省の間で厳しい折衝があった模様だ。厚労省所管の新型コロナ対策における病床確保料や感染症対策の医療機関への支援は、慰労金を含め、第一次補正予算で1,500億円、二次で1兆6,000億円を確保。今回はインフルエンザ対応の外来体制の支援を除き、1兆円近くで合計2兆7,500億円程度となる。
なお、交付金は一次では国と都道府県の半分ずつの負担だったが、二次から過去に遡り全額国庫負担となった。
今回の対策で、最も金額が大きい病床・宿泊療養体制の整備は、第一次、二次補正予算の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金が9月分までの予算であったため、10月以降分を確保するもの。交付金事業では、新型コロナ患者・疑い患者を受け入れる重点医療機関・協力医療機関に対し、新型コロナ患者を治療する入院料における特例的な診療報酬引上げに見合った病床確保料を補助している。
特定機能病院が担う重点医療機関の病床確保料は、費用に見合っていないという指摘を踏まえ、補助額を引き上げる。これまでのICU病床の30万1千円は43万6千円、HCU病床の21万1千円は据置き、その他病床の5万2千円は7万4千円とする。ECMOによる治療を行う患者が延べ3人以上または人工呼吸器による治療を行う患者が延べ10人以上の月がある医療機関が対象。それ以外の一般病院の重点医療機関の場合は、その他病床のみ7万1千円に引き上げる。4月1日に遡って適用する。
診療報酬の特例も手厚くする。中身は、9月14日の持ち回りの中医協総会で了承された(1面参照)。
また、新型コロナに対応する医療機関で、勤務する医療資格者が感染した際に、労災給付の上乗せ補償を行う民間保険に加入した場合に、保険料の一部を補助する。対象医療機関は重点医療機関・協力医療機関、帰国者・接触者外来、宿泊療養・自宅療養患者に対応する医療資格者が勤務する医療機関など。1人当たり1千円を上限に保険料の2分の1を補助する。
インフルエンザ流行期に備え、インフルエンザと新型コロナの症状が似ており、診断が難しいことから、発熱外来診療体制を整備することになった。このため、都道府県指定の診療・検査医療機関、電話相談を行う医療機関、受診相談センターへの補助を行う。
都道府県が指定する「診療・検査医療機関」への補助は、1日当たり20人の患者を想定し、それに満たない分を給付する仕組みだ。1人当たり単価は1万3,447円。ただし、自院のかかりつけ患者のみを受け入れる場合は上限5人、実際の受診患者がゼロの場合は補助額が半分になる。また、救急・周産期・小児医療機関が発熱や咳の症状のある患者を受け入れた場合の感染拡大防止対策などの補助も行う。
医療機関の経営悪化に対しては、資金繰り対策を拡充することになった。福祉医療機構の優遇融資の上限額を引き上げるほか、福祉医療機構と地域経済活性化支援機構(REVIC)の連携による病院経営支援を実施する。
全日病ニュース2020年10月1日号 HTML版
[1] 医療従事者
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20200615/news01.html
2020年6月15日 ... 【政府】第二次補正予算案を閣議決定。 ... 新型コロナウイルス感染症緊急包括
支援交付金では、第一次補正での事業に追加し、◇重点医療機関の病床確保等(
4,700億円)◇慰労金(2,900 ... さらに介護・福祉分野も交付金の対象とし、感染
症対策や慰労金、サービス利用の再開支援で6,091億円を計上した。[2] 「地域医療構想」:みんなの医療ガイド - 全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/guide/28.html
地域医療構想は、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数(病床の必要
量)を4つの医療機能ごとに推計した上で、地域の ... こうした中で、「経済財政
運営と改革の基本方針2017」(骨太方針2017、平成29年6月9日閣議決定)が
地域医療構想を ... 事業」については、2018年度に対象事業が拡充され、医療機関
の事業縮小の際に必要となる費用を計上することが可能となっています(図14)
。[3] 厚生労働省医政局指導課:H24.12.14
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2012/121214_1.pdf
2012年12月14日 ... に閣議決定された予備費において、約357億円が計上されたところでありま. す
。(概要 ... 新築建替の場合、当該医療機関の病棟の病床利用率が過去. 3ヶ年(
暦年)平均で80%未満であれば、病床を削減(削減. 割合は、県 ...
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