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ホーム全日病ニュース(2020年)第972回/2020年10月1日号2021年度専門医研修の厚生労働大臣からの意見を了承

2021年度専門医研修の厚生労働大臣からの意見を了承

2021年度専門医研修の厚生労働大臣からの意見を了承

【厚労省・医師専門研修部会】日本専門医機構は臨床研究医の募集を開始

 医道審議会・医師専門研修部会(遠藤久夫部会長)は9月17日、2021年度の専門研修プログラムに対し、厚生労働大臣が要請する意見を大筋で了承した。これを受け、日本専門医機構は2021年度専門研修の募集を11月上旬に始める。また、一般募集に先行する今回初の臨床研究医コースの募集は9月23日に開始された。これらは9月18日の理事会で了承された。
 専門医研修の募集では、診療科別・都道府県別のシーリング(募集上限)を設けるなど、大都市への医師偏在を避ける方策が設けられている。その際に、毎年度の募集の際には、都道府県や厚労省の意見を伺う必要がある。
 今回の都道府県の意見を踏まえた厚労大臣による要請では、機構のシーリング案に対し、地域枠医師と自治医科大学出身医師はシーリングの枠外とするなど、これまでの対応に加えて、「過去3年の採用数の平均が少数(5以下)の都道府県別診療科はシーリングの対象外とする」を加えた。
 また、各学会の専門研修プログラムについて、研修病院での研修期間の設定が、実質的な「シーリング逃れ」になっている事例などがあり、整備指針の見直しを機構に求めるとした。
 具体的には以下のような事例があった。整備指針における専門医研修のプログラムでは、原則として、研修期間の3年間で、「基幹施設での研修は6か月以上とし、連携施設での研修は3か月未満とならないよう努める」というルールがある。シーリング対象外の研修を6か月のみとし、残りの2年半をシーリング対象の都道府県で研修を行う場合も認められる。シーリングは基幹施設が所在する都道府県にかかるためだが、「実質的なシーリング逃れ」(立谷秀清委員・相馬市長)と指摘された。
 そのほかの不適切事例では、◇研修先が未定の期間があるプログラムについては、募集を認めるべきではない◇具体的な内容が不明瞭なまま、カリキュラム制の研修を始めざるを得ない専攻医がいる。可及的速やかに改善すべき─などの意見があった。
 機構の寺本民生理事長は23日の会見で、「現状の整備指針に違反しているわけではないが、そのような指摘があったので、必要な対応を検討しなければならない」と述べた。シーリング案については、専門研修部会の了承を得たので、機構は11月上旬に募集を始める。昨年度は10月中だったが、「3年間を経て、この日程で問題ないという感触を得た。今回うまくいけば、来年度も同じようなスケジュールになると思う」と寺本理事長は述べた。
 一方、今回初の臨床研究医コースは一般募集に先じて9月23日に募集を開始した。臨床研究医についても、「シーリング逃れ」の懸念が出ているため、初回は40名から始め、徐々に増やしていく予定だ。寺本理事長は改めて、「地域医療への影響を考慮すると、100名ぐらいを目指すことでは関係者の了解を得ている」と述べた。
 臨床研究医は応募時段階で、各学会から合計124コースが用意されている。例えば内科は20コース、外科は10コースある。脳神経外科、放射線科、病理、救急科はゼロである。募集の枠が40名であるので、応募が40名を超える場合は、応募者数に応じて、各診療科にコースを割り振る予定だ。選考結果は10月中旬に公表され、落ちた医師は一般募集に参加できる。

 

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