全日病ニュース

紹介会社斡旋の医師採用に１人当たり332.5万円

【医療従事者委員会】2大都市圏では新規雇用の３割が紹介会社経由

　全日病の医療従事者委員会が行った「雇用における人材紹介会社に関するアンケート」の結果が９月26日の常任理事会で報告された。紹介会社の斡旋で医師を雇用した場合の費用は、１人当たり332.5万円となり、６年前の調査と比べて131.5万円増加したことがわかった。紹介会社に支払う斡旋手数料が病院経営を圧迫している。
　調査は会員病院（2,552施設）を対象に４～５月に実施し、332施設から回答を得た（回答率13％）。今回は、医師、看護師に加え、 新たに看護補助者、介護職についても調査した。常任理事会で井上健一郎常任理事が、2014年度の前回調査と比較した結果を説明した。
　調査結果から常勤医師の新規雇用ルートをみると、紹介会社の斡旋が全体の15.1％となり、前回調査（12.1％）を３ポイント上回り、紹介会社経由の採用が増えている。とくに２大都市圏（東京・神奈川・埼玉＋大阪・京都・兵庫・奈良）では、紹介会社経由の採用が28.8％となり、前回調査（17.4％）と比べて11.4ポイント増えた。２大都市圏以外の地域では、紹介会社斡旋が7.4％となり、前回調査（9.8％）より低下した。２大都市圏以外では医局人事による採用が70.7％となって前回調査（56.0％）を14.7ポイント上回り、医局への依存が強まっている。
　１人当たりの費用をみると、紹介会社の斡旋は平均332.5万円。前回調査（201万円）と比べ131.5万円増加した。施設当たりでは、医師の斡旋に平均523.2万円を支払っている。前回調査（337万円）と比べ、186.2万円の増となった。
　常勤看護職（准看護師含む）の新規雇用ルートをみると、紹介会社経由の採用は全体で24.8％。前回調査（27.0％）と比べ、2.2ポイント低下した。２大都市圏では30.9％、その他は21.7％だった。紹介会社斡旋の場合の１人当たり費用は平均88.1万円となり、前回調査（69万円）と比べ19.1万円増加した。施設当たりでみると、平均で567.7万円を紹介会社に支払っている。
　看護補助職の新規雇用ルートをみると、紹介会社経由の採用は15.5％で、２大都市圏では17.2％、その他は14.7％だった。１人当たり費用をみると平均で52.8万円となり、施設当たりでは平均137万円を支払っている。
　常勤介護職は、紹介会社経由の採用は20.4％ で、２ 大都市圏では26.0％、その他では17.8％だった。１人当たりの費用は平均64.6万円で、施設当たりでみると264.7万円だった。
　看護師の早期離職の状況をみると、2019年度入職者のうち2019年度中に離職した者の割合は、紹介会社経由が14.2％、紹介会社以外は15.8％となり、大きな差はない。早期離職の場合、紹介手数料は返還されるが、１か月以内の離職の場合の返還金は平均54.8万円で、手数料の82％が返金されている。
　アンケートでは、紹介会社に対する評価を知るため、推薦できる会社と推薦できない会社を聞いた。推薦できない会社としてある一社に片寄った回答が多くみられた。推薦できない理由として、「求職者と面談なく紹介し、ミスマッチが多い」「手数料値上げの圧力をかけてきた」などがある。
　紹介会社の対応について見ると、「以前から良かった」が22.9％、「最近よくなった」が17.5％となり、改善傾向が見られる。
　詳細は、全日病ホームページに掲載。https://www.ajha.or.jp/voice/reports.html