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ホーム全日病ニュース(2020年)第973回/2020年10月15日号外国人への対応を都道府県の医療機能情報提供制度に追加

外国人への対応を都道府県の医療機能情報提供制度に追加

外国人への対応を都道府県の医療機能情報提供制度に追加

【厚労省・医療情報検討会】担当職員や通訳者配置、多言語システムに対応

 厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(尾形裕也座長)は9月24日、外国人患者への対応など医療機能情報提供制度の追加項目を了承した。当初案では、外国人患者への対応は病院のみとしていたが、診療所にも広げる方向になった。報告内容を含め、見直し案を次回会合で示すことになった。
 医療機能情報提供制度は、患者・住民が医療機関を適切に選択することに役立てるため、都道府県がインターネットを通じて情報提供するもの。現在、全国統一システムの構築に向け、検討を進めている。令和2年度診療報酬改定に伴う見直しも行う必要がある。
 同日は、医療機関などに報告義務を求める事項について、◇外国人患者への対応◇病院の機能分類◇受動喫煙◇産婦人科以外の診療科での妊産婦の診療に積極的な医療機関─を新たに加えることを了承した。
 ただ、外国人患者への対応については、報告義務対象や報告の内容について、様々な意見があった。
 外国人患者への対応では、①担当職員の配置など外国人患者への総合的な対応②通訳者の配置③多言語翻訳システムの有無─を追加する。当初案では、担当職員の配置など外国人患者への総合的な対応は病院のみが義務となっていた。
 しかし、診療所も対象にすべきとの意見が相次いだ。「外国人患者への対応に積極的に取り組んでいる診療所があり、その情報が伝わらない」、「義務は報告で、実施を求めているわけではない」ためで、日本医師会常任理事の城守国斗委員も賛成した。
 また、体制が整っていると認められる総合的な対応のあり方や、通訳者の配置と多言語翻訳システムの関係などで様々な意見があった。日本医療法人協会副会長の小森直之委員は、「夜間に通訳者を配置するのは、大病院でも難しいと思う。翻訳アプリを使うことになるが、多言語といっても基本は英語になる。あまり細かく規定すると、多くの病院は対応できなくなる」と述べた。
 他の項目で、「産婦人科以外の診療科での妊産婦の診療に積極的な医療機関」を新たに加えることは、2020年度診療報酬改定に関連する。妊婦加算が昨年1月に凍結され、今年4月に廃止された。一方で、妊産婦に配慮した医療提供体制を構築するための検討が行われた。その結果、医療情報提供制度に妊産婦に配慮することに積極的な医療機関を記載することが求められたため、これに対応することになった。

看護師特定行為を広告事項に追加
 医療広告規制を見直し、特定行為研修を修了した看護師の業務内容を広告できることも了承した。具体的には、新たに広告可能となる事項に、「特定行為を手順書により看護師が実施している業務の内容」を加える。
 その際に、業務に関連する事項として、「チーム医療や医師の働き方改革を推進している旨を併記する場合に限る」とした。これに対して、「看護師の特定行為は、チーム医療や医師の働き方の推進の目的だけで創設されたものではないのに、それに限定されているように感じられる」との指摘があった。
 一方で、「チーム医療や医師の働き方改革推進の一環として、今回追加する項目と認識している」との意見もあったため、改めて整理案が示される。

 

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