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ホーム全日病ニュース(2020年)第974回/2020年11月1日号医療法人の監査報酬は654万円、社会医療法人は482万円

医療法人の監査報酬は654万円、社会医療法人は482万円

医療法人の監査報酬は654万円、社会医療法人は482万円

【福祉医療機構】「医療法人の会計監査報酬」に関するアンケート結果公表

 福祉医療機構は10月5日、「医療法人の会計監査報酬」に関するアンケート調査の結果を公表した。外部機関による監査報酬の平均は医療法人で654万円、社会医療法人で482万円。四大監査法人では1千万円を超える。同機構は、社会医療法人に対する法定監査の基準が厳しいと指摘した。
 同調査は、「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査と同様に、全日病の協力で実施された。社会医療法人が27法人、医療法人が94法人の合計121法人の回答をまとめた。
 医療法では、①負債50億円以上または収益額70億円以上の医療法人②負債20億円以上または収益額10億円以上の社会医療法人、あるいは社会医療法人債を発行している社会医療法人に、監査を義務づけている。
 121法人のうち、法定監査対象は医療法人で15法人、社会医療法人で27法人の合計42法人。社会医療法人は回答病院すべてが法定監査対象だ。
 法定監査報酬の状況をみると、1回当たり医療法人では平均654万円、社会医療法人では482万円、全体で543万円だった。四大監査法人(あずさ・新日本・トーマツ・PwCあらた)の報酬額は特に高く、医療法人で3,200万円、社会医療法人で1,100万円だった。
 四大監査法人以外の監査法人の報酬額は、医療法人で414万円、社会医療法人で522万円、全体で479万円。公認会計事務所の報酬額は、医療法人で522万円、社会医療法人で368万円、全体で410万円となっている(表参照)。
 同機構は、「医療分野という特殊性が強い非営利法人に対して、内部統制の確認を含む実効性のある監査を行うためには、四大監査法人や監査法人・会計事務所に依頼せざるを得ないとの背景がある」と指摘した。
 監査報酬に対する印象では、約67%の法人が「高い」「やや高い」と回答した。300万円以上399万円以下等の場合は、「やや安い」が上回ったものの、大部分で「高い」「やや高い」が上回った。監査期間の平均は31.4日で、監査が長期間だと高額になる傾向がある。
 調査結果を踏まえ、同機構は今後の外部監査に関し、意見を述べた。
 社会医療法人の法定監査基準が他の非営利法人と比べて「厳しい」と指摘。収益規模の小さい法人では、監査報酬が医業収益に占める割合が高くなることから、配慮が必要と主張した。オンライン監査の導入など、医療機関の負担軽減に関する取組みも促した。

 

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