全日病ニュース

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中間年改定の薬剤費の削減額は▲4,300億円

中間年改定の薬剤費の削減額は▲4,300億円

【2021年度予算案大臣折衝】感染症対策で診療報酬は引上げ

 田村憲久厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣の折衝が12月17日に行われ、2021年度予算案の主要事項が決着した。初の薬価中間年改定の対象品目は、平均乖離率の0.625倍(乖離率5%)を超える品目となった。ただ、薬価の削減幅は0.8%分緩和する。これによる薬剤費の削減額は▲4,300億円(国費▲1,000億円)。一方、診療報酬は引き上げる。感染防止予防策を講じた一般診療で外来5 点、入院10点( 1 日)を2021年9月まで算定できる。10月以降も、コロナの状況を踏まえ、柔軟に対応する。
 薬価改定の対象範囲は、国民負担の軽減の観点から、できる限り広げるとの状況の下、厚労省が中医協で示していた試算の範囲を上回る対象品目での薬価引下げとなった。0.625倍は平均乖離率8%の0.5倍~ 0.75倍の中間である。対象品目数は1万2,180品目、全体の69%を占める。
 ただ、薬価引下げの際、調整幅2%に加え、0.8%分を緩和する。2020年調査と同じく、改定半年後に実施した2018年薬価調査の平均乖離率が7.2%であり、今回調査の平均乖離率を0.8%分下回ったことを理由とした。
 診療報酬の引上げでは、感染予防策を講じた一般診療において、医科・歯科の外来で5点、医科・歯科の入院(1日)で10点、調剤で4点、訪問看護で50円(1回)をそれぞれ追加的に算定できるようにする。
 特に必要な感染予防策を講じた小児(6歳児未満)の外来診療においては、第三次補正予算案ですでに医科で100点、歯科で55点、調剤で12点が算定できるようにしている。2021年10月〜 2022年3月はこの評価が半分になり、医科が50点、歯科が28点、調剤6点となるが、取扱いは柔軟に対応する。
 介護報酬改定はプラス0.70%(国費196億円)となった。このうち0.05%相当分は、コロナに対応するため、かかり増しの経費が必要となることに配慮したもの。2021年10月以降は、この措置も新型コロナ感染症の状況を見て決定する。これらの財源で、感染症等への対応力強化やICT化の促進などメリハリのある対応を行う。
 障害福祉サービス等報酬改定はプラス0.56%(国費86億円)となった。0.05%分は介護と同じくコロナ分である。
 2021年度予算案では、コロナの影響による足元の医療費動向を踏まえ、医療費の国庫負担が▲2千億円程度減っていることを想定し、社会保障費の自然増分を踏まえ、全体の社会保障関係費の増額分を3,500円程度に抑えた。

 

全日病ニュース2021年1月1・15日合併号号 HTML版

 

 

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