全日病ニュース

救急救命士の救急外来での活用などで法改正目指す

【タスクシフト／シェア推進検討会】診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士も対象

　厚生労働省の医師の働き方改革を進めるためのタスクシフト／シェアの推進に関する検討会（永井良三座長）は12月11日、「議論の整理案」を了承した。医師の時間外労働規制が2024年度に施行されることを踏まえ、医師の労働時間を短縮させることを、タスクシフト／シェア推進することの第一義の目的としている。救急救命士や診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士が法令改正の対象となる。
　検討会は、全30団体からヒアリングを実施。各団体から提案された300項目の業務を整理し、「現行制度の下で実施可能な業務」、「現行制度では明確にされていない業務」、「現行制度では実施できない業務」に分類した。
　看護師や助産師、薬剤師、医師事務作業補助者などの「現行制度の下で実施可能な業務」と「現行制度では明確にされていない業務」については、通知などで明確化し、推進の方策を示すことにした。
　「現行制度では実施できない業務」については、①資格付随業務②技術隣接業務③安全性の担保の観点で、タスクシフト／シェアができる業務であるかを判断。合意の得られた業務は法改正を目指すことになった。
　法改正を目指す業務としては、まず静脈路の確保とそれに関連する業務があがった。
　具体的には、診療放射線技師による造影剤を使用した検査やRI（ラジオアイソトープ）検査、臨床検査技師による電解質輸液に接続する行為、臨床工学技士による輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路を抜針・止血する行為が、対象となった。
　診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士については、そのほか様々な業務が対象となっている。
　また、救急救命士は現行法上、医療機関に搬送されるまでの間（病院前）においてのみ、重度傷病者に救急救命処置を実施することが可能である。それを救急外来でも実施可能とする。
　その際に、救急救命士を雇用する医療機関は院内に委員会を設置し、◇実施可能な救急救命処置の範囲等に関する規定◇研修体制の整備◇救急救命処置の検証を行う体制の整備◇組織内の位置づけの明確化─を求める。
　救急救命士への研修では、医療機関就業前に必須とする研修として、医療安全・感染対策・チーム医療、研鑽に必要な研修として、救急救命処置行為に関する研修などを義務づける。
　救急救命士は、これまで病院内で業務を行うことが想定されていなかったので、充分な研修が必要との意見や、将来的な需給動向をきちんと把握すべきとの意見が、委員から出た。
　これらの案について、検討会として了承したが、日本看護協会副会長の齋藤訓子委員は、「反対する意見があったことを議論の整理に明記してほしい」と要望した。