全日病ニュース

医療計画の見直しと地域医療構想で考え方まとめる

【厚労省・医療計画見直し等検討会】新興感染症への対応を記載事項に追加

　厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会（遠藤久夫座長）は12月14日、「新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制の構築に向けた考え方」と題した報告書を了承した。新興感染症への対応を新たに医療計画の事項に追加することや、地域医療構想の今後の具体的な工程は、今冬の新型コロナの感染状況をみながら改めて検討することを明記した。今後、同検討会の取りまとめを社会保障審議会医療部会に報告する。
　医療計画については、現在「５疾病・５事業及び在宅医療」に関して各都道府県が策定している。同検討会は、この５事業に新興感染症等への対応を追加することが適当とした。
　医療計画で新興感染症に関して記載する項目は、「平時からの取組み」と「感染拡大時の取組み」の２つの観点。
　平時からの取組みのイメージとして、◇感染拡大に対応可能な医療機関・病床等の確保◇感染防護具等の備蓄◇医療機関内でクラスターが発生した際の対応方針の共有―などを示した。
　感染拡大時の取組みとしては、感染拡大時の受入れ候補医療機関や、感染症患者に対応する医師・看護師等のマンパワー確保、医療機関間の連携と役割分担などをあげた。

「2022年度中に議論するのが重要」
　地域医療構想については、12月９日に「地域医療構想に関するワーキンググループ」がまとめた考え方を盛り込んだ。新型コロナの感染が拡大する現時点で今後の工程を示すのは見送り、この冬の感染状況を踏まえて改めて、◇再検証対象医療機関における具体的対応方針の再検証◇民間医療機関も含めた、再検証対象医療機関以外の医療機関における対応方針の策定―に関する工程を検討することとした。
　工程を策定する時期は記載されなかったが、第８次医療計画は2023年中に各都道府県が策定作業を行うことになる。それを踏まえて報告書では、2022年度中を目途に地域医療構想の実現に向けて地域の議論が進められることが重要であるとまとめた。
　全日病副会長の織田正道委員は、「今後、地域医療構想を着実に進めていくことが重要だ」と述べた。