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ホーム全日病ニュース(2021年)第979回/2021年2月1日号医療機関の再編で取得した土地・建物に優遇税制

医療機関の再編で取得した土地・建物に優遇税制

医療機関の再編で取得した土地・建物に優遇税制

【税制改正大綱】社会医療法人の認定要件はコロナの影響に配慮

 政府は12月21日、税制改正大綱を閣議決定した。厚生関係の税制改正では、地域医療構想の実現に向け、医療機関の再編に伴い取得した土地・建物に対する優遇税制措置を創設した。社会医療法人の認定要件では、コロナの影響に配慮し、緩和措置を実施する。
 医療機関の土地・建物に対する優遇税制措置では、2023年度までの措置として、医療機関の開設者が共同再編計画に基づき、医療機関の再編に伴い取得する土地・建物の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を軽減することになる。
 土地の所有権の移転登記では本則1,000分の20を1,000分の10とする。建物の所有権の保存登記では本則1,000分の4を1,000分の2とする。不動産取得に伴う税負担が半分になる計算だ。
 再編統合を検討している複数医療機関が、地域医療構想調整会議に諮った上で、共同再編計画を策定し都道府県を経由して厚生労働省に提出する。厚労省は地域医療構想における構想区域の2025年の必要病床数との整合性など所定の要件を満たすかを確認し、認定する。
 社会医療法人の認定要件については、コロナの影響で救急医療等確保事業の実績を満たさないケースが想定されることから、特例的な認定要件を設定する緩和措置を実施する。
 具体的には、現行の要件における基準値に、コロナによる実績の落ち込みを踏まえた一定の減少割合を乗じ、3会計年度平均を算出した数値を特例的な基準値とする。
 また、患者や職員の罹患で医療機関全体や一部が休業した場合や、感染防止のため地方自治体から自粛要請を受けて医師派遣や巡回診療ができなかった場合、休業した日数や自粛要請を受けた日数に相当する件数を認定要件における基準値から控除する。
 また、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の改正による課徴金納付命令の導入に伴う所要の措置では、同法の課徴金制度における課徴金・延滞金は、損金・必要経費に算入できないとした。
 医療用機器等の特別償却制度は一部見直した上で、制度の適用期限を2年延長する。見直しでは、診療所における全身用CTと全身用MRIの配置効率化を促すための措置を講じるとともに、対象機器の見直しを行う。
 事業税における診療報酬の実質的非課税措置や医療法人に対する軽減税率は、「税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する」としつつ、引続き延長する。

 

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