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ホーム全日病ニュース(2021年)第979回/2021年2月1日号中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して⑥

中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して⑥
オンラインおよび病院訪問による継続支援実施レポート

中小病院の病院機能評価認定率向上を目指して⑥
オンラインおよび病院訪問による継続支援実施レポート

岩渕 泰子(病院機能評価委員会 特別委員、看護アドバイザー)

 2020年10月6日、進捗状況確認のため2度目のオンライン支援を行った。当日の質問は、「病棟目標はどこに貼るのか」「麻薬は鍵のかかるところに収納しなければならないのか」「レスパイトをアピールしたいが良いか」「口頭指示と離院防止をフローシートにしているが良いか」さらに「外来看護や医療安全管理について」であったが、すぐに対応できるものであると思われた。
 レスパイトをアピールするにあたっては他院と比し、どこが優れているのか明確にする必要があるだろう。外来看護については、安全に受診するための方策を明確にすること。医療安全管理については医療安全管理委員会と医療ガス委員会は別物なので指針の内容を検討すること(後日医療法の条例の違いをメールさせて頂いた)。また、タイムアウトの確認、滅菌の質保証のためのチェックは必須であることをアドバイスした。
 しかし、オンライン支援には限度があり、百聞は一見に如かずと思い、病院側と話し合いの上、12月9日に訪問することとした。
 12月9日、13時から17時10分まで、コロナ禍ではあったが、感染予防を徹底し病院訪問を実施した。院長・事務長・師長をはじめ9名の方々の参加を得て、先ずは7月29日のオンライン講義(2領域)の復習を行い、次に「具体的にサーベイヤーが何を聞くか」について説明した。その後、病棟、手術室、中央滅菌材料室、外来、リハビリ室を訪問した。
 病棟においては、麻薬・向精神薬等は施錠管理とし、鍵はリーダー管理に変更されており、また、救急カートは、以前鍵管理をしていたが、すぐに使用できるように改善されていた。リハビリ室は医師の指示により計画を立て、患者の同意書も取っている。365日毎日PTによるリハビリができず課題であるが、休日は看護師が実施し記録に残しており努力されていた。

課題と具体的アドバイス
 以下、課題と思われる点とアドバイスの内容を列挙する。①責任体制:病棟責任者が明示されていないため、責任者が誰なのか患者・家族へ明示する必要がある。②診療記録:診療記録の監査がされていないため、診療録については、上司による点検でも可、看護記録の場合は、定期的に質監査の実施が望まれる。病院としての略語は定めておくと良い。③誤認防止:タイムアウトは必須、記録にも残すこと。WHOの手術安全チェックリストを参考にすると良い。マーキングは検討を要す。④急変時の対応:早急に緊急コードを設定し周知されたい。⑤医療関連感染:PPEは常に準備すること。感染性医療廃棄物(オムツ)へのバイオハザードマークの貼付、一次洗浄の場所の検討、清潔・不潔のゾーニング、速乾性消毒薬のモニタリングの実施。⑥術前訪問:看護師による実施も考慮されたい。⑦滅菌の質保証:生物学的点検の実施も必要である。
 そのほか、医療機器の対応、疼痛スケール、身体抑制時の観察頻度、臓器提供の意思確認、患者の権利と責務、同席者のサイン欄の追加、注射薬の一施用、外来採血室のプライバシー保護については、課題として共有できたと認識し詳細な記載は割愛する。最後に、自己評価票は文章にして提出すると良い旨をお話しさせて頂き終了した。
 2021年2月25日、再度、診療・看護・事務が揃って訪問予定であるため、質向上に向けて頑張った成果を楽しみにしたいと思う。

 

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