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ホーム全日病ニュース(2021年)第979回/2021年2月1日号病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

島田 寛之(医療法人春風会 樫村病院 事務長)

 私は、以前、静岡県の医療法人で勤務しておりましたが、今般縁がありまして、2020年11月付にて樫村病院の事務長として赴任致しました。面接で機能評価受審との話を院長より受けた時『大病院が受けるものではないのか。そこまで背伸びしなくとも良いのはないか』が私の正直な感想でした。
 ただ、一旦法人として決めた事だからやり遂げる事が仕事と考え、各部門の調整を進めて参りました。『何でこんな事をするの。今上手く回っているのだから、それでいいじゃない』と各部門で言われる事もありました。私自身も『機能評価は私たちのような中小病院で本当に必要なのだろうか、他に優先すべき事があるのではないか』との思いもありました。
 職員より昨年7月全日病の岩渕先生からWEBアドバイスを受けているとのお話は伺っておりましたが、各担当できちんと理解・整理されているのか不明な点も多々ありました。WEB指導では、お互いの意思疎通も上手く伝わらず、不慣れなインターネット環境の中、上手く書類や現場等を提示する事が出来なかったのではと容易に推測される状況でした。対面でないと『本当に聞きたいことはこれじゃないのに…』といった状況は発生しがちになります。今回コロナ渦の中、感染対策を考えるのであれば、『実地指導はどうだろうか? WEBの方が良いのではないか』との思いもありました。
 しかし、今回当院に岩渕先生が来て頂けた事で、随分指導が前向きに進行し、私自身『来て頂いて良かった』と心より感謝しております。医療の仕事は現場なくして成立し得ないものであり、書類・回答方法等現場でしか伝わらない面も多かったのです。岩渕先生に現場を見て頂き、意見や、機能評価で理解しづらい悩みの相談に乗って貰えた事で、色々な事が、少しずつ氷塊し霧散する思いでした。今回岩渕先生より受けたご指導一つ一つをクリアしてゆき、4月の受審の際には胸を張ってサーベイヤーに対峙出来るようにして参りたいと考えています。
 実際の指導内容ですが、詳細に亘っており機能評価の解説集を掘り下げて話して頂いた面もあり、来ていただくサーベイヤーに左右されるなとの印象を受けました。
 項目1.1.1「患者の権利を明確にし、権利の擁護に努めている」について指導を受け、岩渕先生より、『ただ掲示すれば良い訳ではない、患者様が理解しやすく利用しやすい施設としての立場を堅持する事が大事なのだ』とのお言葉を頂戴し、心が洗われる思いでした。行政検査等に慣らされすぎると、法律の文言さえクリアしていれば良しとするといった感覚が自然と身についており、いつしか患者様の立場を忘れてしまっていたのではないかと自分を見直す機会を得られたと思います。
 ほかにも手指消毒の回数・医療機器の日常点検・主治医不在時のマニュアル整備・院内緊急コードの設定・一次洗浄の場所設定等様々な指導をして頂きましたが、それは全て患者様に還元されるものなのです。
 私たちは、行政検査や機能評価のために患者様に医療サービスを提供している訳ではない、全ては患者様への安心・安全なるサービス提供のためなのです。私たちの考え方を少しチェンジする事でサービスの質は格段に向上してくるのです。
 今回機能評価を受審する事で改めて自分自身の仕事の意味を振り返る事ができた事は本当に意義のある事であり、その気づきを与えてくれた岩渕先生には感謝の言葉しかありません。次回2月に再度美原先生・中嶋先生と共に御来院頂けると伺っておりますので、職員一同楽しみにお待ち致しております。機能評価受審に向けて期日は迫っておりますが、一つ一つ乗り越えてまいりたいと考えています。

 

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