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ホーム全日病ニュース(2021年)第980回/2021年2月15日号要請に応じない場合は「勧告」し、医療機関名を公表

要請に応じない場合は「勧告」し、医療機関名を公表

要請に応じない場合は「勧告」し、医療機関名を公表

【特措法等成立】国・都道府県の医療関係者への権限を強化

 感染症法の改正を含む新型インフルエンザ等対策特別措置法等の改正法案が2月3日、参議院本会議で可決、成立した。同日公布され、13日に施行された。感染症法の改正により、国や都道府県は医療関係者に対し協力の要請をし、正当な理由なく要請に応じなかった場合は、「勧告」できるようになる。正当な理由なく勧告に従わない医療機関名を公表することもできる。
 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部改正」ではまず、「新型インフルエンザ等感染症」に「新型コロナウイルス感染症」と「再興型コロナウイルス感染症」を追加し、指定感染症の期限経過後(感染症法では2022年1月31日、検疫法では同年2月13日)も、必要な対策を講じることができるようにした。
 国と地方自治体の役割・権限強化等では、厚生労働大臣が、新型インフルエンザ等感染症に関し、「緊急の必要があると認めるときのほか、都道府県知事などが感染症法等の規定に違反し、または規定に基づく事務の管理・執行を怠っている場合」は、都道府県知事などに対し、必要な指示ができることになった。
 感染症指定医療機関が不足するおそれがある場合などは、都道府県知事が、保健所設置市長や医療機関その他の関係者に対し、入院などの総合調整を行う規定を設けた。
 さらに、厚生労働大臣・都道府県知事は、緊急の必要があると認めるときは、「医療関係者・民間等の検査機関に必要な協力を求めることができることとし、当該要請に正当な理由がなく応じなかったときは勧告することができる(正当な理由がなく勧告に従わない場合は公表可)」ことになった。現行法上も、医療関係者への協力要請の規定はあるが、これはそのまま維持する。

与野党の修正で罰則等の規定変更
 入院勧告・措置の見直しでは、厚生労働大臣が定める感染症の感染者で、◇症状が重い者、重篤化するおそれがある者等◇宿泊療養等の協力の求めに応じない者(入院費用の自己負担徴収可)について、入院勧告・措置の対象とした。対象者が、入院措置に応じない場合または入院先から逃げた場合、当初案では、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」としていたが、与野党協議による修正で「50万円以下の過料」に変更された。
 積極的疫学調査で、厚生労働大臣が定める感染症の感染者が、「質問に対して正当な理由がなく答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をし、または正当な理由がなく調査を拒み、妨げもしくは忌避した場合」の「50万円以下の罰金」も「30万円以下の過料」になった。
 「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律」では、「まん延防止等重点措置」を創設し、営業時間の変更等の措置を要請できることにした。住民に対しても、要請対象の「業態に属する事業を行う場所にみだりに出入りしないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる」ようにした。営業時間の変更等の措置に違反した場合の過料についても、修正の結果、金額を引き下げている。
 また、現行法では緊急事態宣言中に開設できることとされている「臨時の医療施設」について、「政府対策本部が設定された段階から開設できる」との規定を設けている。

 

全日病ニュース2021年2月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 新型インフルエンザ等対策特別措置法関係

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/210215_12.pdf

    するとともに、「まん延防止等重点措置」を創設し、正当な理由なく都道府県知.
    事の要請に応じない事業者への命令及び罰則を規定するなど、感染症対策の実. 効
    性を高めるものです。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する.

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