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ホーム全日病ニュース(2021年)第981回/2021年3月1日号早期乳がんへのラジオ波焼灼療法が31件で最多

早期乳がんへのラジオ波焼灼療法が31件で最多

早期乳がんへのラジオ波焼灼療法が31件で最多

【中医協総会】2020年度の患者申出療養制度の実施状況を報告

 厚生労働省は2月10日の中医協総会(小塩隆士会長)に、患者申出療養制度の実施状況を報告した。2020年度(2019年7月1日~ 2020年6月30日)の間に認められていた患者申出療養は7技術。このうち、「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(早期乳がん)」(臨床研究中核病院=国立がん研究センター中央病院)の実施件数が39件で最も多かった。7技術のうち、2技術は実施件数がゼロ件だった。
 2020年度に認められていた患者申出療養は以下のとおり。◇パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS―1内服併用療法(腹膜播種又は進行性胃がん)(臨中病院=東京大学医学部附属病院)◇耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法(臨中病院=大阪大学医学部附属病院)◇リツキシマブ静脈内投与療法(難治性天疱瘡)(臨中病院=慶應義塾大学病院)◇インフィグラチニブ経口投与療法(進行固形がん)(臨中病院=名古屋大学医学部附属病院)◇経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(早期乳がん)(臨中病院=国立がん研究センター中央病院)◇マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療(根治切除が不可能な進行固形がん)(臨中病院=国立がん研究センター中央病院)◇トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法(乳房外パジェット病)(臨中病院=慶應義塾大学病院
 2020年度の実績をみると、「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(早期乳がん)」が39件で最も多く、次いで、「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療(根治切除が不可能な進行固形がん)」が20件。一方、「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」と「トラスツズマブエムタンシン静脈内投与療法(乳房外パジェット病)」はゼロ件である。
 7技術の総金額は約6千万円。うち保険外併用療養費である保険診療分が約3 千万円、患者申出療養分が約3千万円。患者申出療養分が総金額に対して占める割合は52.4%となっている。患者申出療養分は原則自費負担だが、抗がん剤などは製薬企業から無償提供される場合が多く、自費負担は比較的低く抑えられている。

成熟化に向け発展途上の段階
 厚労省と、規制改革推進会議など混合診療の解禁を推進する勢力との激しい議論の末に、2016年度から始まった患者申出療養制度は、先進的な医療を「身近な医療機関でも迅速に受けられるようにすること」も狙いの一つだったが、現状では、先進医療を実施するような大病院以外では実施されず、普及したとは言えない状況にある。
 「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(早期乳がん)」についても、乳房への侵襲性の低さが注目される一方で、「標準医療」と比べ治療効果の優位性は認められておらず、「再発リスクが高い可能性がある」との指摘がある。技術を承認している患者申出療養評価会議では、「まだ制度の成熟化に向け発展途上の段階」(福井次矢座長)との認識で議論が進められている。
 過去5年間の実績をみると、2020年度は7技術が24施設で実施され、患者数は78人、総金額は約6千万円。2019年度は7技術が24施設で実施されたのは同じだが、患者数は38人で少なく、総金額は約5千万円だった。制度開始後初の実績の2017年度は、4技術が21施設で実施され、患者数は111人、総金額は約2.2億円と、現状より患者数が多かった。

 

全日病ニュース2021年3月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年6月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200601.pdf

    2020年6月1日 ... 中医協(小塩隆士会長)は5月8日、. 総会を持ち回りで ... 性筋萎縮症治療薬で
    遺伝子治療用製品. のゾルゲンスマ ... 済み、根治の可能性もあるという。対. 象は
    限定的 ... る遺伝子プロファイリングに基づく分. 子標的治療」 ...

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