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ホーム全日病ニュース(2021年)第981回/2021年3月1日号新型コロナウイルスワクチンを日本で初の承認

新型コロナウイルスワクチンを日本で初の承認

ワクチン接種を受ける新木院長(東京医療センター)。

新型コロナウイルスワクチンを日本で初の承認

【厚労省】2回筋肉注射し、発症予防効果は約95%。

 厚生労働省は2月14日、米国ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンを特例承認したと発表した。日本で初めて、新型コロナワクチンの製造・販売が承認された。承認されたのは、ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したメッセンジャーRNA ワクチン「コミナティ筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNA ワクチン)(有効成分名:トジナメラン)。
 2月12日に開かれた薬事・食品衛生審議会の医薬品第二部会で、国内の臨床試験の結果を踏まえ、有効性と安全性を確認した。16歳以上を対象とし、3週間の間隔で2回接種する。マイナス75度の超低温状態で保管する必要がある。医薬品医療機器等法に基づく特例承認で、昨年12月の申請から2カ月というスピード承認だった。政府はファイザーとの間で、年内に約1億4,400万回分のワクチンの供給を行う契約を結んでいる。
 翌15日、厚生科学審議会は予防接種法に基づきファイザーの新型コロナワクチンの接種を行うことを了承。接種期間や接種対象などを決めた。16日に予防接種法の政省令の改正が公布・施行され、田村憲久厚労大臣が接種を指示した。
 田村厚労相は16日の会見で、「まずは医療従事者向けの先行接種を始める。その後、各自治体で体制を整備してもらいながら、高齢者、基礎疾患をお持ちの方、介護施設等の従事者、そして一般の方に接種する」と述べた。
 河野太郎行政改革相も同日、ワクチン接種について会見し、翌17日から約4万人の医療従事者に、先行的に接種することを発表した。そのうち2万人に、継続的に健康状態を観察日誌に記入してもらい、ワクチン接種の安全性を調査することも明らかにした。
 17日の朝、日本で初めての新型コロナウイルスのワクチン接種が国立病院機構・東京医療センターで始まった。最初に接種を受けた新木一弘院長は、接種直後に「私は注射が苦手だが、全然痛くなかった」と報道陣に笑顔を見せた。新木院長は、「新型コロナワクチンを広く国民の皆さんに使ってもらうため、我々のデータも含め、先行研究の貴重なデータが解析されて役に立てば、ありがたい」と述べた。

ワクチンの接種期間は約1年間
 新型コロナワクチン接種の期間は、2月17日から2022年2月28日までの約1年間。15日の厚生科学審議会の分科会で厚労省の担当者は、実施期間を1年とすることについて「できるだけ早く接種を終えるべきという意見と、猶予期間を持つべきという意見のバランスをとって、1年という提案にした」と説明した。
 全額を公費で賄い、自己負担なしで接種できる。18日以上の間隔を置いて、2回、筋肉注射する。ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降。現時点では、ワクチンの感染予防の効果は明らかになっていないが、発症予防効果は約95%とされている。
 予防接種の対象者は16歳以上の人。ファイザー社のワクチンの適応対象が16歳以上であることによる。ただし、他の予防接種と同様に、明らかな発熱がある人や、重篤な急性疾患にかかっている人は接種不適当者とする。
 接種対象には妊婦も含まれるが、妊婦には接種の努力義務は課さない。ファイザー社のワクチンが胎児に与える影響は必ずしも明らかになっていないため、接種を慎重に判断できるようにするためだ。厚労省は、「安全性に関して情報が得られ次第、情報提供を行っていきたい」としている。
 先行接種の後に続く接種対象者の順番は、①医療従事者②高齢者(2021年度中に65歳に達する、1957年4月1日以前に生まれた人)③高齢者以外で基礎疾患を有する方や、高齢者施設等で従事されている人④それ以外の人―となる見込み。

 

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