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ホーム全日病ニュース(2021年)第983回/2021年4月1日号医療事故調査制度の2020年の結果を報告

医療事故調査制度の2020年の結果を報告

医療事故調査制度の2020年の結果を報告

【日本医療安全調査機構】院内調査結果の報告件数は過去5年で最も低い

 日本医療安全調査機構(髙久史麿会長)は3月22日、医療事故調査・支援センターの2020年の年報を公表した。2020年度の医療事故発生報告件数は324件で、制度発足後、年度単位で集計可能な過去5年で最も低い件数だった。院内調査結果報告件数は355件で、患者死亡から院内調査結果報告までの期間の平均は、176日となっている。センター調査への依頼件数は27件で、81.5%が遺族からの依頼となっている。
 医療事故発生報告件数の推移をみると、2016年が406件、2017年が370件、2018年が377件、2019年が373件で、2020年の324件は最も少ない。新型コロナの影響があるかは不明だ。起因した医療では、手術(分娩含む)が157件で最も多く、次いで処置が55件、投薬・注射が19件、診察が17件となっている。手術の内訳では、開腹手術が27件で最も多く、次いで経皮的血管内手術が22件、開胸手術と腹腔鏡下手術が19件、その他が17件となっている。
 病床規模別に報告実績をみると、病床が多いほど、報告件数も多くなる。900床以上の病院では、80.8%で報告実績がある。400床~ 499床で報告実績がある病院は35.7%。200床~ 299床で報告実績のある病院は15.1%。
 医療事故調査発生報告から1年以上調査している理由としては、105件の回答のうち、「委員会開催のための日程調査に時間を要している」が25件でもっと多い。次いで、「報告書の作成に時間を要している」が22件、「遺族への調査結果の説明やその後の対応に時間を要している」が18件で多い。解剖は36.9%で実施している。死亡時画像診断(Ai)の実施状況は34.4%となっており、解剖とAi の両方の実施が23.4%を占める。
 センター調査の状況では、累計の院内調査結果報告件数(1,627件)のうち、センター調査は141件で8.7%。センター調査に依頼した理由では、依頼が医療機関の場合、33件のうち、「院内調査結果の検証をしてほしい」が19件で多い。依頼が遺族の場合、「院内調査結果に納得できない」が353件のうち、343件で大部分を占める。

 

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