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ホーム全日病ニュース(2021年)第983回/2021年4月1日号サブスペシャルティ領域の意見集約見送り

サブスペシャルティ領域の意見集約見送り

サブスペシャルティ領域の意見集約見送り

【日本専門医機構】国民へのわかりやすさの観点で判断

 日本専門医機構の寺本民生理事長は3月22日に記者会見を行った。年度内に固める予定だった機構認定のサブスペシャルティ領域について、意見がまとまらず、意見集約を見送ったことを明らかにした。早急に議論を進め、理事会で了承し、機構としての案をまとめた上で、4月中の厚生労働省の医道審議会・医師分科会医師専門研修部会で了解を得たい考えだ。
 寺本理事長は、「昨年12月までに各基本領域が認めたサブスペシャリティ領域について、レビューシートの記載を求め、サブスペシャルティ領域検討委員会で議論し、一定の方向性が示された。しかし、理事会の議論では、様々な意見があり、まとめることができなかった」と述べた。
 サブスペシャルティ領域については、基本診療領域と連動しているなど、地域医療に影響を与える可能性の高い23領域がすでに認定されている。それ以外で、現在候補となっている21領域の認定が議論になっている。寺本理事長は、「サブスペシャルティ領域専門研修細則に照らすと、かなり抑制されるとの判断になるが、何を判断基準にして選ぶかということでも、意見が分かれている」と、議論が混迷している状況を伝えた。
 考え方としては、「国民にわかりやすい診療科という観点で、機構は認定しなければならない。一方で、必ずしも国民にわかりやすくはなくても、高度に専門的な領域はあり、そこは学会が自律性をもって、やればよいわけで、そこに上下関係はない」と説明した。ただ、国民へのわかりやすさという観点でも、意見が分かれるという。
 また、社員への年会費の増額についても、了解が得られていないという。3月末の社員総会で了解が得られることを目指す。
 機構による専門医研修が始まり、3年が経過。第一期の修了者が出ることに対し、寺本理事長はメッセージを発した。「紆余曲折もあり3年が経った。機構の運営に大きな支障はなかったと考えているが、専攻医の方々にとっては、新しい制度の下での研修であり、新型コロナの感染拡大もあった。二重の意味での大変さがあったと思う。これらの状況ができるだけ専攻医に不利に働かないよう、機構として配慮したい。機構が認定する専門医が今後、医療現場で活躍していくことを期待する」と述べた。

 

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