全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2021年)第986回/2021年5月15日号2021年度病院機能評価受審支援事業がスタート

2021年度病院機能評価受審支援事業がスタート

病院機能評価支援モデル病院事業について

2021年度病院機能評価受審支援事業①病院機能評価委員会 委員長 木村 厚

 2020年度から始まった病院機能評価受審支援モデル病院事業は、目出度く1件目の病院の支援を卒業して評価機構の本審査受審に至った。
 中小病院は人手も、資金もなく機能評価受審が大変であり、そのためか受審率、認定率が上がらない。全日病の会員の多くを占める中小病院に対し、病院機能評価委員会としては、本事業を行い、ドキュメント記事を会員病院の受審支援として貢献したいと考えたのである。
 2020年度は新型コロナウィルス感染症の猖獗があり、当委員会も慣れないこともあり、モデルとなった香川県の樫村病院には大変ご尽力頂き感謝申し上げる。4月には医療機能評価機構の本審査を受けられ、結果が楽しみである。
 2021年度は広島県の福山城西病院がモデル病院に決まり、3月21日にキックオフ対談を行いスタートした。この日はさらに当委員会機能評価セミナーを受講していただいた。今後当委員会委員の訪問指導、WEBを利用したやり取りなどを経て、来年の本審査への協力をしたいと考えている。
 経過については今年と同じく、全日病ニュースにドキュメント記事を掲載する予定になっているので、ぜひ皆様の病院の受審の参考にしていただきたいと願っている。

病院機能評価受審に向けての思い

医療法人社団尚志会 福山城西病院院長 日野直紀

 当院所在地の福山市は、広島県東部、岡山県との県境に位置しております。山陽新幹線を利用された方は、駅から間近に見える城のある街とお伝えすればお分かりいただけるかもしれません。北は中国山地の山々を抱え、南は瀬戸内に浮かぶ島々を有する人口46万人、高齢化率26%の中核市です。古く万葉の時代から汐待の港として栄えた鞆町、空襲で被災した街の復興、そして平和を願って始まった100万本のばらの街づくりから端を発し盛大に行われる「ばら祭り」など、手前味噌ですがとても見どころの多い素敵な街です。
 福山市の人口は2020年の46.5万人が、2045年には43万人になると推計されています。医療需要は2025年をピークに減少の一途をたどることになり、医療機関同士の競争が激化していくことは必至です。当市は広島県二次保健医療圏域の福山・府中に属しています。広島県の地域医療構想における当圏域の必要病床数は、全国的な傾向と同様ではありますが、「高度急性期」と「回復期」は不足、「急性期」と「慢性期」は過剰と見込まれています。残念ながら当院は、調整対象の「急性期」と「慢性期」の病床を有しております。昭和52(1977)年から40年余りの歴史を重ねてきましたが、今まで果たしてきた使命を大切にしながらも、生き残るための医療ニーズを見極めながら、路頭に迷わない舵取りをしていかなければなりません。

当院の概況
 当院についてですが、創業時から今日に至るまで腎疾患、特に人工透析を軸足としつつ、内科(消化器、循環器)、外科、整形外科をはじめ幅広い診療科を抱え、地域の皆様のプライマリー医療に注力しております。
 今回、病院機能評価を受審するに至った動機は、スタッフに、コロナ禍にあっても目先の業務に追われるのではなく、目標や希望、そして誇りを持って医療に携わって欲しいという願いがありました。一般病床を有してはおりますが、どちらかと言えば慢性期寄りの急性期病院です。入院患者は高度急性期病院からの紹介に依存しており、「末期腎不全患者」あるいは「終末期・看取り患者」が多くを占めています。
 私たちは、急性期医療で救い得なかった患者や、在宅や介護施設での受け入れが難しい腎不全患者の「最後の砦」としての役割を担っています。そうした方々の「安息の地」となれるよう最善のケアを求めて日々取り組んでいるところです。世間的に見れば慢性期病床は重荷であり無用の長物といった扱いや見方をされますが、私たちは負けませんしそれに腐ることなく、日々誇りを持って医療を行っています。スタッフは患者様に寄り添い、歩んでこられた人生に敬意を払いつつ、心を込めたケアに徹しています。しかし残念ながら、私たち自身、医療レベルの未熟さを自覚しています。だからこそ病院機能評価へ挑戦するのです。スタッフの向上心を燃え上がらせ、もう一段熱量を上げていくはずです。そして認定を受けることができた暁には、今まで以上に仕事への喜びを感じ、誇りを持って私たちの信じる医療を貫くことができると確信しています。
 全日本病院協会の「病院機能評価受審支援モデル病院公募」の知らせが届いたのは、2年前でした。残念ながら1回目の応募には落選しましたが、今度こそは!と思いも新たに応募動機を送ったところ(選定しないと何度でも送ってくると思われたのか、粘り強いと評価頂けたのか分かりませんが)、当院をモデル病院として選定していただきました。
 アドバイザーの皆さんの支援を頂く限りは、一発合格はもちろんですが、日本全国のまだ病院機能評価を受審されていない病院が、当院の取り組みに触発され、受審病院が増えるような取り組みをしていきたいと思っています。定期的に本紙に投稿する機会を頂戴しております。ぜひ当院のビフォー・アフターにご期待ください。

 

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