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ホーム全日病ニュース(2021年)第987回/2021年6月1日号改正医療法の参議院厚生労働委員会における附帯決議(要旨)

改正医療法の参議院厚生労働委員会における附帯決議(要旨)

改正医療法の参議院厚生労働委員会における附帯決議(要旨)

【資料】

(医師の働き方改革関連)
① 医療機関に勤務する医師に対する時間外労働の上限規制の適用に当たっては、大学病院等が地域の医療機関から医師を引き揚げることなどにより、地域の医療提供体制に影響を及ぼすことがないよう、特定労務管理対象機関の指定制度の趣旨を周知徹底するとともに、地域の医療提供体制の確保のための必要な支援を行うこと。
② 医療機関勤務環境評価センターの指定に当たっては、医療機関における医師の長時間労働の実態および労働時間短縮の取組状況を客観的に分析・評価する体制が整備されているとともに、労務に関する知見等に基づき評価可能な体制を有している法人を指定すること。
③ 労働時間短縮計画案は、対象医師からの意見聴取等により、十分な納得を得た上で作成されるべきであることを指針で明確にし、その周知徹底を図ること。
④ 地域医療確保暫定特例水準の指定を受けた医療機関において、労使が締結する三六協定で定める時間外・休日労働時間数については、特例水準の対象業務に必要とされる時間数であることを合理的に説明できる必要があること。
⑤ 2035年度末を目標とする地域医療暫定特例水準の解消に向けた時間外・休日労働時間の短縮を着実かつ計画的に進めるため、自治体や医療機関に必要かつ十分な支援を行うとともに、定期的に各医療機関の医師の労働時間短縮の実態調査を行い、当該水準における時間外労働の上限の段階的見直しを検討すること。集中技能向上水準についても、その将来的な縮減に向けた検討に着手すること。
⑥ 長時間労働となる医師に対する面接指導の実施においては、医療機関の管理者や面接指導対象医師が、第三条による改正後の医療法附則第百八条が求める義務に誠実に従うよう、都道府県による指導の徹底を確保すること。
⑦ 医療機関の管理者が必要と認めるときは、時間外・休日労働の上限が960時間以下の労働時間短縮計画を自主的に作成すること。
⑧ 医師の夜間勤務、特に、第二次救急医療機関や急性期病院における夜間勤務については、通常の勤務時間と同態様の業務を行う場合には時間外労働として扱うなど、労働時間の適切な管理が必要な旨を周知徹底するとともに、交代制勤務を導入する等により、夜間勤務の負担軽減を図る医療機関に対し、必要な支援を行うこと。
⑨ 医師の労働時間短縮を確実に進めるために、現行制度下におけるタスクシフトやタスクシェアの普及を推進するとともに、さらなるタスクシフトやタスクシェアについて、諸外国の例を研究しつつ必要な検討を行うこと。
⑩ 医師の労働時間短縮に向けた医療機関内のマネジメント改革を進めるため、医療機関の管理者や中間管理職の医師への労働法制の研修・教育を推進すること。
⑪ 医師の時間外・休日労働に対する割増賃金の支払状況や、健康確保措置の実施状況などを踏まえ、医療機関が労働法制を遵守しつつ、医療従事者を確保できるよう、診療報酬による対応を含め、医療機関への財政支援措置を講ずること。
⑫ 診療以外の研究、教育においても重要な役割を担う大学病院において労働時間短縮の取組みを着実に進めるため、大学病院における医師の働き方の諸課題について文部科学省と厚生労働省が連携して速やかに検討を開始するとともに、その検討結果に基づいて財政上の措置を含めた必要な検討を行うこと。
⑬ 在宅医療や看取りなど地域包括ケアを進める上で重要な役割を担う診療所の医師の働き方改革についても検討を加え、必要な支援を行うこと。
⑭ 医学部教育と臨床研修を切れ目なくつなぐ観点から、医学部における共用試験の公的化を踏まえ、診療参加型臨床実習に即した技能習得状況を確認するための試験の公的化を含め、医師国家試験のあり方を速やかに検討すること。
⑮ 医療機関における育児休業制度の規定状況、利用状況等を調査し、出産・育児期の女性医師を始めとする子育て世代の医療従事者が、仕事と出産・子育てを両立できる環境を整備するとともに、就業継続や復職支援策等の充実を図ること。
(外来機能の明確化・連携関連)
⑯ 外来機能の明確化・連携に当たっては、診療科ごとの外来医療の分析、紹介・逆紹介の状況の分析等をできる限り行うとともに、紹介を基本とする医療機関からの逆紹介の促進を図ること。
(地域医療構想・医療計画の見直し関連)
⑰ 地域医療構想については、各地域において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により生じた医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、地域包括ケアの観点も含めた地域における病床の機能の分化・連携の推進のあり方を検討し、その結果を踏まえつつ、必要な取組みを進めること。また、検討に当たっては、地域の様々な設置主体の医療機関の参画を促すこと。
⑱ 新型コロナウイルス感染症により生じた医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、地域の医療提供施設相互間の機能の分担・業務の連携、医師の地域間・診療科間の偏在の是正等に係る調整のあり方など医療提供体制の確保に関し必要な事項を検討すること。
⑲ 第八次医療計画における5疾病・6事業について、ロジックモデル等を活用した実効性ある施策の策定など、医療提供体制の政策立案から評価、見直しに至るPDCA サイクルの実効性の確保に努めること。
⑳ 新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等に伴い医療機関が厳しい経営状況に置かれていることに鑑み、医療機関の経営状況について速やかに把握し、その状況等を踏まえ、医療機関に対し財政上の支援等の必要な措置を講ずること。
㉑ 将来に向けて、質の高い医療提供体制を守るため、医師の働き方改革や医師の偏在対策、地域医療構想、外来医療の機能の明確化・連携などを丁寧かつ着実に進めることが重要であり、それらを医療機関に寄り添って進める都道府県の業務体制の強化を推進すること。

 

全日病ニュース2021年6月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年5月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190501.pdf

    2019年5月1日 ... 委員会では法案の可決とあわせ、12項. 目の附帯決議を採択した。 附帯決議は、
    ◇個人番号カードによ. るオンライン資格確認 ... 医師の健康確保を進めた上で、
    労使で. 十分に話し合い、時間外労働について. 36協定を締結する ...

  • [2] Untitled - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/about_us/50years/pdf/50years.pdf

    2011年3月31日 ...決議※1〉. 社会保険診療報酬の適正化、特に入院料の即時引き. 上げを要望する
    。 右決議する。 昭和37年7月22日. 全日本病院協会定期 ... 労使問題について」
    江間時彦厚生省医務局指導課. 長の5題の ... 我々は右の2点から、全日病解散
    に関する附帯条件 ... 会長、理事数の縮減、⑥理事、監事の選出、⑦会.

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