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ホーム全日病ニュース(2021年)第987回/2021年6月1日号入院医療等の2021年度調査の項目を了承

入院医療等の2021年度調査の項目を了承

入院医療等の2021年度調査の項目を了承

【中医協総会】新型コロナの影響は別の集計も活用し実態把握

 中医協総会(小塩隆士会長)は5月12日、2022年度診療報酬改定に向けた入院医療等の2021年度調査の項目案を了承した。入院医療等の調査・評価分科会でまとめたものだが、分科会での議論と同じく、総会でも、新型コロナの影響をできるだけ把握すべきとの意見が支払側の委員から出た。厚生労働省は、調査に回答する医療機関の負担が大きくならないようにするため、調査案どおりとすることに理解を求め、了解を得た。
 2021年度の調査項目は、◇「一般病棟入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」の施設基準等の見直しの影響(その2)◇特定集中治療室管理料等の集中治療を行う入院料の見直しの影響◇地域包括ケア病棟入院料及び回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等の見直しの影響(その2)◇療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その2)─の4項目となっている。
 このうち、特定集中治療室管理料等の集中治療を行う入院料の見直しの影響は、2020年度調査では設定していなかった項目。特定集中治療室管理料は、意識障害や昏睡、急性心不全、救急蘇生後など重症患者が入院する病室とされるが、患者の病態が詳細には把握できていない。今後、患者の病態に応じた評価につなげるため、実態把握を行う狙いがある。
 ただ、新型コロナの感染拡大があり、集中治療室は新型コロナ患者受入れ病院で、重症者・中等症者が入院するベッドと想定されるため、新型コロナの影響を把握する項目も多く設けられた。
 一方、入院医療等の調査・評価分科会の議論では、療養病棟入院基本料等における「新型コロナ患者の受入れ病院からの転院患者受入の動向」を把握する項目で、受入れの「有無」だけでなく、人数なども把握すべきとの意見が出ていた。しかし、分科会終了後の調整で、人数を把握する場合でもどの時点での人数であるかなどを明確に定義するのが難しいことや、回答する医療機関の負担が増大することから、当初案どおりの調査項目とすることでまとまった。人数など詳細な情報については、フリーコメント欄に記入してもらうことで把握するとの整理となった。
 総会の議論でも、健康保険組合連合会の幸野庄司委員が、「新型コロナ患者の受入れ人数の累計や最大受入れ数」などの把握を要望したが、入院医療等の調査・評価分科会の尾形裕也分科会長が経緯を説明し、理解を得た。
 また、幸野委員は、2020年度調査において、新型コロナに対応した病院に該当する項目を幅広く設定したため、新型コロナ患者を受け入れた病院とそうでない病院で、入院医療の実態にどのような違いがあるのかが明確に示されていないことを問題視。該当項目の改善を求めた。
 該当項目は、①新型コロナ患者の受入れ②新型コロナ患者受入れ病院に医療従事者を派遣③学校等の臨時休校に伴い職員の勤務が困難となった④新型コロナに感染または濃厚接触者となり出勤ができない職員が在籍する─となっており、1つでも該当すれば、新型コロナに対応した病院となる。
 これに対し厚労省は、①〜④の項目ごとの集計が可能であることや、別にレセプトデータで診療報酬の特例の算定状況を分析することによって、「新型コロナ患者受入れ病院とそれ以外の病院の入院医療の状況の違いを、ある程度は分析することができる」と説明した。

 

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