全日病ニュース
2020年度の医業利益率▲4.3ポイントの悪化
2020年度の医業利益率▲4.3ポイントの悪化
【病院経営状況調査】コロナ交付金など支援金により改善みられる
全日病、日本病院会、日本医療法人協会の3団体は6月3日、病院経営状況調査の結果を公表した。2020年度第4四半期とともに、2020年度全体の状況が示された。2020年度の医業利益率の対前年度比は▲4.3ポイント。新型コロナの影響で病院の経営が悪化した。新型コロナ緊急包括支援交付金など支援金を加味するとプラス2.1ポイントに改善する。だが、それでも医業利益率自体は赤字であり、各病院のばらつきも大きい。
同日のオンライン会見で、全日病の猪口雄二会長は、「国・都道府県からの支援金を受け取ることで、全体では何とか病院の経営をつなぐことができると見通せる結果だ。しかし、クラスターの発生などで厳しい状況の病院もある。影響は千差万別で、支援金がないと対応は難しい。国に対しては、引続きの支援を求めていく」と発言した。
3団体は新型コロナの感染拡大による病院経営への影響を把握するために調査を実施し、これまで第1~3四半期の結果を公表してきた。今回第4四半期の結果がまとまったため、2020年度全体の状況を把握することができた。各四半期調査の回答病院は一致しないため、すべての四半期調査に回答した716病院の結果を集計した。
2019年度と2020年度の医業利益率の推移をみると、2020年度は2019年度と比べ、全病院で▲4.3ポイント、コロナ患者受入れ「なし」病院で▲1.4ポイント、コロナ患者受入れ「あり」病院で▲4.7ポイント、一時的・外来病棟閉鎖病院で▲6.1ポイントとなっており、いずれも悪化している。医業利益率は全病院で▲6.1%、コロナ患者受入れ「なし」病院で0.1%、コロナ患者受入れ「あり」病院で▲7.0%、一時的・外来病棟閉鎖病院で▲8.4%で、コロナ患者受入れ「なし」病院のみ、赤字ではない水準である(右の表を参照)。
これに慰労金を除いた支援金を加味した医業利益率の推移をみると、全病院で2.1ポイント、コロナ患者受入れ「なし」病院で▲0.3ポイント、コロナ患者受入れ「あり」病院で2.4ポイント、一時的・外来病棟閉鎖病院で2.3ポイントとの結果だった。コロナ患者受入れ「なし」病院を除けば、支援金の効果が大きいことがわかった。
ただ、各病院の医業利益率の変化の分布をみると、かなりばらつきが生じている。コロナ患者受入れ「あり」病院でも、支援金を加味した医業利益率が、マイナスになっている病院がかなりある。また、支援金により改善したとしても、多くの病院が赤字傾向であることに変わりはない。日病の島弘志副会長は、第四波となる4月以降の感染拡大が、さらに状況を悪化させている可能性があることに懸念を示した。なお、新型コロナ緊急包括支援交付金などの入金状況は3月末の集計であるため、申請額に対し、国・都道府県を合わせ、約75%となっている。
医業収益が減少し利益率が悪化
2020年度の経営指標をみると、新型コロナの影響が色濃く出ている。医業収益の項目で、特に影響が大きいのは健診・人間ドック等収入であり、全病院で▲12.6%、コロナ患者受入れ「あり」病院で▲13.7%、コロナ患者受入れ「なし」病院でも▲6.3%である。
入院診療収入は、コロナ患者受入れ「あり」病院が▲5.0%で、相対的に影響が大きく、外来診療収入はコロナ患者受入れ「なし」病院が▲3.7%で相対的に影響が大きい。一時的・外来病棟閉鎖病院の入院診療収入は▲6.4%、外来診療収入は▲3.6%である。
医業費用の項目では、病院全体で医薬品費が▲2.2%で下がっているのに対し、給与費は0.7%で上がっている。医業費用全体では▲0.3%でほぼ横ばいであり、医業収益の低下が医業利益率の赤字拡大に結び付いていることがわかる。
第4四半期の指標もマイナス目立つ
2020年度第4四半期の状況を概観する。調査対象数は4,410病院、回答病院は1,277病院、有効回答率は29.0%となっている。対前年度比でマイナスが目立つが、新型コロナの影響は2020年が始まってから顕在化したため、比較が難しい状況になっている。
結果は、医業利益率の2020年と2021年の変化で、全病院で1月が▲3.7ポイント、2月が▲4.9ポイント、3月が▲0.5ポイントとなっている。コロナ患者受入れ「なし」病院では1月が▲1.9ポイント、2月が▲3.8ポイント、3月が2.9ポイント。コロナ患者受入れ「あり」病院では1月が▲4.2ポイント、2月が▲5.3ポイント、3月が▲1.6ポイント。一時的・外来病棟閉鎖病院では1月が▲6.6ポイント、2月が▲9.5ポイント、3月が▲4.1ポイントとなっている。
全日病ニュース2021年6月15日号 HTML版
[1] 新型コロナウイルス対策における民間病院の役割データに基づく ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20210401/news06.html
2021年4月1日 ... この間、新型コロナ患者の病床を確保するため、全日病は会員病院に対し、
コロナ患者受入れを要請するとともに、行政や医療関係 ... 感染第3波を踏まえて
、ウィズ・コロナの状況にどのように対応するかを猪口雄二会長に聞いた。 ...
介護施設の中でも、特に介護老人保健施設は、一定の医療が介護報酬の中に包括
されてしまっているので、クラスターになってしまった場合に、実際に ...[2] 全日病ニュース・紙面PDF(2021年5月15日号)
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210515.pdf
2021年5月15日 ... 行われ、猪口雄二会長が出席した。医. 療法等改正案には、地域の医療 ...
あるいはクラスターが発生した高齢者. 施設で、感染者全員を入院させる ... 12)
)では、新型コロナ患者受入れの際、. 特定集中治療室管理料等と同等の ...[3] 病院団体や都道府県医師会の新型コロナ対策に日医が補助|第985回 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20210501/news02.html
2021年5月1日 ... 同日の会見で、日医の猪口雄二副会長(全日病会長)が支援の内容を説明した(
写真)。 ... 補助金の支給は、日医の「新型コロナウイルス感染症患者受入病床
確保調整事業」として実施するもの。 ... 機関・後方支援医療機関(高齢者施設・
福祉施設等)に対するゾーニング支援・教育研修費◇患者受入医療機関や後方
支援医療機関への医療従事者派遣時の特別手当◇クラスターが発生し、 ...[4] 速報版 3病院団体が病院経営状況調査の結果を公表ー2020年度の ...
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/2106ex.pdf
2 日前 ... 全日病の猪口雄二会長は会見で、「国・都道府. 県からの支援金を受け取ることで
、 ... しかし、クラスターの発生などで厳. しい状況の病院もある。 ... コロナ患者
受入れ「なし」病院で0.1%、コロナ患. 者受入れ「あり」病院 ...[5] 猪口会長が医療法等改正案の参考人質疑に出席|第986回/2021年5 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20210515/news01.html
2021年5月15日 ... 参議院の厚生労働委員会で4月27日、医療法等改正案に関する参考人質疑が行
われ、猪口雄二会長が出席した。 ... 紹介患者中心病院は手上げを基本に 立憲
民主党など野党は、医師の時間外労働の基準の妥当性に疑問を呈しているが、
地域医療 ... 猪口会長は、日本医師会・四病院団体協議会・全国自治体病院協議会
として、受入病床確保対策会議を設置し、 ... あるいはクラスターが発生した高齢
者施設で、感染者全員を入院させることは難しく、そこで医療を提供できる ...[6] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年6月1日号)
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200601.pdf
2020年6月1日 ... 全日病(猪口雄二会長)と日本病院. 会(相澤孝夫会長)、日本医療法人協会 ...
コロナ患者受入れ状況における経営指標の比較. (単位:千円). 有効回答全病院
n= ... クラスターが発. 生している医療機関や施設では、感染.
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。