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ホーム全日病ニュース(2021年)第988回/2021年6月15日号改正医療法の施行に向け制度設計の議論開始

改正医療法の施行に向け制度設計の議論開始

改正医療法の施行に向け制度設計の議論開始

【社保審・医療部会】かかりつけ医機能を担う医療機関の明確化も必要

 改正医療法が5月21日に成立したことを受け、社会保障審議会・医療部会(永井良三部会長)は6月3日、それぞれの改正事項の施行に向け、具体的な制度設計の議論を開始した。改正事項は多岐に渡るため、分野ごとに検討の場を設ける。同日の部会では病院団体から、紹介状なしの受診で定額負担を課す病院を拡大する議論が、外来医療機能の明確化・連携を進めるための議論に先行することのないよう釘をさす意見が相次いだ。
 外来医療の機能を明確化・連携させるための改正では、2022年度に外来機能報告制度を創設し、外来機能の情報を収集し外来機能を分析する。外来機能の報告は病院・有床診療所は「義務」で、無床診療所は「任意」となっている。目的は、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」を位置付けることだ。そのような医療機関の外来は紹介患者が中心となる。
 全日病副会長の神野正博委員は、制度設計のための議論に費やされる時間が少ないことを指摘した上で、「制度の目的を『大病院指向がある中で、日常の医療はかかりつけ医機能を担う医療機関で受け、必要に応じて紹介を受けて、他の医療機関を受診し、さらに逆紹介により身近な医療機関に戻る患者の流れを円滑にするもの』としている。そうであれば、紹介を受ける医療機関だけでなく、かかりつけ医機能を担う医療機関も明確にならなければ、患者にとってわかりにくい」と述べた。
 さらに、かかりつけ医機能を担う医療機関が明確化される前に、「紹介状なし受診で定額負担が課される病院を拡大する議論を行うのはナンセンス」と強調し、「医療資源重点外来を担う医療機関とかかりつけ医機能を担う医療機関の位置付けはセットで議論すべき」と釘をさした。
 病院団体の委員からは、神野委員と同様の意見が相次いだ。厚生労働省は、これらの意見に留意して、検討を進める意向を示した。外来機能の明確化・連携の推進は、外来医療計画を含む第8次医療計画に基づき実施されるため、第8次医療計画に関する検討の場の下に、ワーキンググループを設けて議論する。

各検討会等で具体的な議論始まる
 医師に対する時間外労働規制は2024年度から適用される。それまでに段階的に制度を施行する。特に、◇労働時間短縮計画の作成◇医療機関勤務環境評価センターによる第三者評価◇専門医資格など高度技能習得のための特例水準の審査組織による個別審査◇都道府県による特例水準対象機関の指定─などを行う必要がある。
 今後の施行準備では、追加的な健康確保措置の詳細や医療機関勤務環境評価支援センターの運営に関する事項など厚労省令で規定する内容について、すでにある「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催する方針が示された。
 医師の負担軽減を図る狙いも含め、タスク・シフト/シェアを進めることでは、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の業務範囲の見直しがある。これらは今年10月に施行される。救急救命士が救急救命行為を実施できる場所の範囲を病院前から救急外来まで広げることについては、救急・災害医療提供体制等のあり方に関する検討会で議論する。
 新型コロナの感染拡大を踏まえた新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけに関しては、第8次医療計画に向けた基本方針を改正する中で、具体的な記載項目を検討する。第8次医療計画に関する新たな検討の場を設ける。同日の議論では、自治体の新型コロナ対応で混乱がみられたため、保健所が中心になる感染症法の予防計画と医療計画との整合性を図るべきとの意見が、複数の委員から出た。

 

全日病ニュース2021年6月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年11月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/171101.pdf

    2017年11月1日 ... に反対意見があった。猪口委員は、. 「医. 師を新たに配置することによる人件費.
    増の病院への影響は大きい。専従要件 ... 理事長の神野正博委員は、「7対1病.
    院に戻れない ... 派遣先が偏らないようにする◇地対協. の協議を ... われることの
    ないよう釘を刺すととも ... 医師分科会医師臨床研修部会」、「社.

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年12月01日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/171201.pdf

    2017年12月1日 ... ない状況だ。給与の伸びは、国公立が. 2.6%に対し、それ以外が1.7%で、こ.
    ちらも差が出ている。 DPC対象病院の損益 ... 厚労省・医療部会 ... 病副会長の
    神野正博委員は、「アンケ ... よう釘をさした上で、賛意を示した。

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年1月1日・15日合併号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190101.pdf

    あり方について、多少なりとも方向性を示せたのではないかと思います。本. 年は
    、愛知 ... 関する委員会」が発足し、本格的に在支病の機能充実に向けた議論が行
    われ. ることに ... それでは皆様にとりまして、希望に満ちた一年でありますよう
    祈念して、. 年頭のご ... 副会長 神野正博 ... 12日、同日に薬価専門部会と保険医療.

  • [4] 看護必要度の一部項目はDPCデータで判定可能|第907回/2017年 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20171201/news09.html

    2017年12月1日 ... 全日病副会長の神野正博委員は、「アンケート結果は2016年度改定で該当患者
    割合の基準が25%以上になったことで病院が苦労している実態を示す。
    取りこぼしのないようきちんと把握しないと25%は難しい」と強調した。

  • [5] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年11月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/181115.pdf

    2018年11月15日 ... ないように」と釘をさした。 ... 神野正博全日病副会 ... 猪口委員. も、「個々の
    病院のばらつきをなくす. ことは不可能で、それを解決するには. 診療報酬以外の
    対応が必要となる」と ... 果評価専門部会・薬価専門部会・保険.

  • [6] 2010年7月1日号 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2010/100701.pdf

    実態を全国的に調べる実態調査の内容および特定看護師の養成プログラムを試行
    ・検証. する調査 ... 神野正博委員(社会医療法人財団董. 仙会理事 ... 院を想定。7
    月14日に予定されている診療報酬基本問題小委員会の承認を経て、. 9月∼10月 ...

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