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ホーム全日病ニュース(2021年)第988回/2021年6月15日号感染症対策基金や財政救済基金の創設を提案

感染症対策基金や財政救済基金の創設を提案

感染症対策基金や財政救済基金の創設を提案

【四病協】2022年度予算概算要求で要望書

 四病院団体協議会は5月26日、田村憲久厚生労働大臣宛てで2022年度予算概算要求に関する要望書を提出した。人口減少・高齢化を踏まえた地域医療構想の推進などの取組みの重要性を指摘しつつ、「まずは新型コロナの感染拡大による医療崩壊の危機を乗り越えるための予算が必要」と強調している。新型コロナ対策としては、緊急時の感染症対策基金や医療機関の経営を支援する財政救済基金の創設を提案した。
 感染症対策基金は、新型コロナのような新たな感染症のパンデミックに対応するためのもの。「事後的に経費を支弁できる柔軟性のある財政的支援が可能な基金」を要望した。
 一方、財政救済基金は新型コロナの影響で経営危機に陥った医療機関を救済するための基金だ。福祉医療機構による融資制度の拡充があるが、措置期間後に返済しなければならず、抜本的な解決にならない。このため、劣後債のような自己資本に近い形での資金供給により、「将来的に増加した純資産から返済することで、純資産を毀損することなく、医療機関の経営基盤を確立する」ことのできる対応を求めた。
 医師の働き方改革関連では、医師の増員を主張するとともに、診療報酬以外の医師の人件費に対する予算措置を要望した。タスク・シフト/シェアを進めるための医療従事者の確保・養成、医療機関で働く介護職員の処遇改善、院内保育所の整備などへの財政支援もあげた。
 また、総合的診療能力の獲得を促すキャリア支援事業を実施している病院団体に対する経費補助や、外国人技能実習生受入れ事業への財政支援を要望した。
 地域医療構想の推進に向けた病床ダウンサイジング支援については、病床削減に対する支援の増額とあわせ、稼働病床だけでなく、休床や許可病床からの削減に対しても国庫補助が行われるべきであるとした。
 医療機関のICT 関係では、マイナンバーカードを活用したオンライン資格確認制度に対する補助については、3月末が期限となっていたが、4月以降に顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関に対しても、実費の全額を補助することを求めた。オンライン診療を実施する医療機関への財政支援も新たに要望項目に設けた。
 災害対策関係では、◇災害派遣精神医療チーム(DPAT)を有する病院への補助◇防災設備や自家発電設備等の非常用設備の保守費に関する支援◇一般病院の耐震診断、耐震改修への支援◇医療施設等災害復旧費補助金の拡充─などを要望した。
 そのほか、病院給食の抜本的な構造転換を行うための研究や、病院業務のタイムスタディ調査の実施に対する補助の要望などを盛り込んでいる。

看護協会の調査に改めて再考求める
 同日の総合部会では、日本看護協会から同協会が実施する准看護師の業務に関する調査について説明を受けた。四病協は、同調査が看護師と准看護師の役割を比較し、病院団体の考える准看護師とは異なる役割に導くことを目的としているようにみえることを問題視している。
 今回の説明でも、質問項目の表現などで若干の改善があったものの、全体の趣旨に変化はないことから、改めて同協会に再考を求めることになった。

 

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