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ホーム全日病ニュース(2021年)第989回/2021年7月1日号医学部臨時定員は削減すべきではない

医学部臨時定員は削減すべきではない

医学部臨時定員は削減すべきではない

【四病協・総合部会】医師需給推計のやり直し求める

 四病院団体協議会は6月23日に総合部会を開き、最近の医療行政をめぐり議論を行った。終了後の会見で、議長である日本医療法人協会の加納繁照会長は、厚生労働省の医師需給分科会が医学部入学定員の臨時定員の段階的廃止を検討していることについて、「医師数は地域でまだまだ不足しており、(医師偏在対策が効果を出していない状況で)、養成数を減らすべきではない」との四病協の考えを改めて示した。また、薬剤師の養成については、薬剤師を病院が確保できない現状に対し、「診療報酬を含めた根本的な見直し」により、調剤薬局に薬剤師が偏る状況を変えることが必要との認識を示した。
 厚労省の医師需給分科会は、将来的にマクロでの医師数が充足し、その後、過剰になるとの需給推計を踏まえ、現状の医学部入学定員の臨時定員は段階的に廃止し、その一部を「地域枠」に切り替えるという方向性で議論している。しかし、その条件となる医師偏在対策の効果は目に見える形で現れていない。
 加納会長は、新型コロナの感染拡大によっても、医師の不足が指摘される状況が増えていると指摘。地域偏在だけではなく、専門以外の医療に対応できない医師が多くいることを含め、実質的な医師不足が解決されていないと強調した。
 医師需給推計については、推計をやり直すことを主張した。医師数に占める女性医師の比率が上がっている中で、過去の医師需給推計では、男性医師と女性医師の労働時間の差を反映させた前提で推計を行っている。しかし、診療科や働き方の選択で、新しい変化も加速しており、新たな需給推計を改めて実施し、その結果を踏まえた上で、医師養成数の問題を考えるべきとしている。
 薬剤師の養成については、このほど、厚労省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が報告書を大筋でまとめた。報告書では、薬剤師の資質向上のため、医療機関での薬剤師の卒後研修を実施すべきとの考え方が盛り込まれた。これについて、病院での業務経験が、病院で働く薬剤師の増加につながる可能性に期待を示した。
 ただ、現状で薬剤師が調剤薬局に多く就職してしまうことの背景には、給与の問題があり、引いては、その原資である報酬の問題がある。加納会長は、「やはり病院の診療報酬が少なく、確保が厳しい。調剤報酬との格差是正を主張していく」と述べた。

 

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  • [5] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年4月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200401.pdf

    2020年4月1日 ... 厚生労働省の医療従事者の需給に関. する検討会・医師需給分科会(片峰茂. 座長
    )は3月12日、大学 ... 際に用いる新たな医師需給推計推計. 方法も大筋で了承
    した。新たな医師需. 給推計は、医学部入学定員のうち、臨.

  • [6] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年9月1日号)

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