全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2021年)第990回/2021年7月15日号救急搬送や手術、治療室で急性期入院医療を評価する視点示す

救急搬送や手術、治療室で急性期入院医療を評価する視点示す

救急搬送や手術、治療室で急性期入院医療を評価する視点示す

【中医協・入院医療等分科会】2022年度診療報酬改定に向け入院医療の議論開始

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は6月30日、2022年度診療報酬改定に向け入院医療の議論を開始した。同日は、入院医療を取り巻く現状を概観するとともに、同分科会が実施した2020年度調査結果(速報)を踏まえ、主に急性期一般入院料をめぐり議論を行った。また、厚生労働省は、特定集中治療室など治療室を備えている急性期一般入院料1とそれ以外の急性期一般入院料1などを比較。救急医療や手術の実施状況、高度急性期医療の機能との連携の観点で、急性期入院医療の評価を考える視点を提供した。
 急性期一般入院料1(旧7対1入院基本料)は2012年の35万7,569床に対し2019年は34万6,491床で、1万床ほど減少したが、急性期一般入院料2~7の2倍以上を占める現状は変わっていない。一方、旧10対1入院基本料は2012年の21万566床から2017年の16万9,638床まで減ってから急性期一般入院料2〜7になった。地域包括ケア病棟の創設などで減少したと考えられる。
 最近の診療報酬改定では、医療の必要性の高い患者の該当割合に一定の基準を設け、入院基本料の要件とする「重症度、医療・看護必要度」(以下、必要度)を厳格化することにより、急性期入院医療の入院基本料を適正化する方向での改定が行われてきた。2022年度でもその方向での改正が行われる可能性があるが、新型コロナの影響で、現状の把握が困難になっているほか、2020年度改定が十全に実施されていないことから、状況は不透明だ。

病床規模の大小による比較
 そういった状況で厚生労働省は、一般病棟入院基本料について、医療ニーズに見合った医療資源を投入し、効果的・効率的に、質の高い入院医療を提供するという観点を踏まえ、看護必要度だけでなく、救急医療や手術等の実施、高度急性期医療との連携を含めて、急性期入院医療を評価する視点を提示した。
 その議論をする際の資料として、まず、新型コロナの特例の取扱いの状況が示された。特例では、一般病棟でも人員配置を同等にすれば、治療室の届出を行わなくても、救命救急入院料や特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料等を算定し、新型コロナ患者を入院させることができることになっている(「簡易な報告」)。
 「簡易な報告」での病床数は、救命救急入院料で1,614床、特定集中治療室管理料で1,171床、ハイケアユニット入院医療管理料で1万744床であった。治療室の状況では、すべての特定機能病院で3つのうち、いずれかの届出があった。急性期一般入院料1を届け出ているその他の病院では、7割超の施設がいずれかの届出を行っており、特にハイケアユニット入院医療管理料の届出が多かった。
 また、新型コロナ患者で人工呼吸器等使用患者の受入れ実績のある病院をみると、病床規模が大きいほど、受入れ実績のある病院の割合が高まるとの結果だった。
 これを受け、全日病会長の猪口雄二委員は、「中小病院は元々治療室がない病院が多い。その中で、一定の数を受け入れたのは、新型コロナ患者に対応するため、『簡易な報告』を活用し、受入れに努力した結果だと思う」と述べた。人工呼吸器を装着する新型のコロナ患者の受入れについては、「100 ~200床規模でも2割超は受入れ実績がある。特に、東京や大阪など大都市で中小民間病院が頑張った」と強調した。
 さらに、総合的かつ専門的な急性期医療を提供する病院への加算である総合入院体制加算を届け出ている病院の方が、新型コロナ患者を受け入れている割合が高いとのデータも示された。
 全日病常任理事の津留英智委員は、「総合入院体制加算を届け出ている病院の多くが、新型コロナ重症患者を受け入れていることは間違いない。しかし、受入れ人数には幅がある。私が確認したデータでは、特定機能病院でも大部分は1日平均1~4人程度の受入れで、10名以上の受け入れは6病院だけだった。届出なしの病院も、半分近くは新型コロナ患者を受け入れているのであり、他の病院よりも総合入院体制加算を届け出ている病院だけが、新型コロナ対応で頑張ったとは、必ずしも言えないのではないか。」と述べた。
 厚労省は、急性期入院料1を届け出ている病院における、そのほかのデータでも、◇病床規模の大きい病院の方が、治療室を届け出ている病院が多い傾向にある◇病床規模の大きい病院の方が、救急搬送件数が多くなる傾向がある◇手術の実施件数の多い病院の方が、治療室を届け出ている病院の割合が高い傾向にある─などを示した。
 このようなデータを踏まえ、名古屋大学医学部附属病院教授の秋山智弥委員は、「急性期一般入院料1について、救急搬送と手術を実績として評価し、治療室を体制として評価する視点と考えられる」と厚労省の論点を解説した。
 これに対し猪口委員は、「病院の機能はサイズだけでなく、地域により異なる。県庁所在地に立地する病院などは、複数病院で機能分化できるが、医療資源が少なくて、全部の医療機能を引き受けなくてはならない病院もある。一律に評価するのではなく、地域の中でどのような機能が必要であるかを考え、そのために地域医療構想なども活用し、情報を共有して議論を進めることが重要になる」と強調した。

 

全日病ニュース2021年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2021年5月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210515.pdf

    2021/05/15 ... 院は、公か民か、あるいは施設の大小. や機能にかかわらず、新型 ... 新型コロナ の対応含め与野党の議員が猪口会長に質問. 本号の紙面から. 入院医療等の ... 科会(尾形裕也分科会長)は4月28日、. 2022年度診療報酬改定に ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年10月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/201001.pdf

    2020/10/01 ... 我々病院経営者もアフターコロナに. 対応すべく、経営戦略の検討に迫られ. ていると考える。。 (池井義彦). 中医協の入院医療等の調査・評価分. 科会(尾形 裕也分科会長)は9月10日、. 2020年度診療報酬改定後、初めてと ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。