全日病ニュース
オンライン初診に適さない症状や薬を検討
オンライン初診に適さない症状や薬を検討
【厚労省・オンライン診療検討会】医学会連合が提言
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(山本隆一座長)は6月30日、初診からのオンライン診療に適さない症状や医薬品を検討していく方針で一致した。
政府が6月18日に閣議決定した規制改革実施計画では、初診からのオンライン診療は「原則、かかりつけ医による実施」とした。かかりつけ医以外の医師が行うのであれば「あらかじめ診療録、診療情報提供書、地域医療ネットワーク、健康診断結果等の情報により患者の状態が把握できる」場合に限定した。
さらに、かかりつけ医がいない患者については、診療前に、医師が患者本人と「オンラインでのやりとり」で患者から医療履歴や基礎疾患の情報を聞き、「オンライン診療を行うことに合意した場合」に、初診からのオンライン診療を可能とした。
これらを踏まえて、検討会では今後、初診からのオンライン診療に必要な医学的情報の詳細や、「オンラインでのやりとり」を議論していく方向だ。
初診からのオンライン診療に適さない症状や医薬品等も検討していく。このための参考資料として、日本医学会連合(門田守人会長)による「オンライン診療の初診に関する提言」が示された。提言では、オンラインの初診に適さない症状と、オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤を示している。
オンライン初診に適さない症状として、発熱などの風邪症状があり、かつ「高齢」や「高血圧」「肥満」などの重症化リスクがある場合などをあげた。投与に検討が必要な薬剤として、抗菌薬や抗ウイルス薬、糖尿病治療薬などをあげている。
複数の委員が提言を評価した。日本医師会副会長の今村聡委員は、「提言が『検討が必要な薬剤』とした薬に、明らかに投与してはいけないものがある。投与禁止のものと投与に検討が必要なものと、段階を分けるべき」と要望した。
大病院での活用に期待の声
検討会では、東大病院でオンライン診療がスタートすることが報告された。「大学病院でオンライン診療の活用が進まないのは、赤字になるから」との指摘もなされた。
大病院や中核病院でのオンライン診療の活用を期待する意見が複数の委員から出される一方、病院でのオンライン診療のコストを下げる取り組みが必要との意見も出された。
今村委員は「コストはシステム会社によりまったく異なるので、より廉価で安全性の高いオンライン診療のシステムを広める必要がある」と指摘。
さらに今村委員は、「大学病院や中核病院で、どういう医療にオンライン診療が適するか、研究を進めてほしい」と要望した。
規制改革実施計画では、「オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針」を策定して、先進的な好事例を展開していく方針が示された。委員からは、「医療の大きなデザインを描いた上で、そこにオンライン診療を位置付けてほしい」との意見が出された。基本方針の策定時期や検討の場は未定。
全日病ニュース2021年7月15日号 HTML版