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ホーム全日病ニュース(2021年)第990回/2021年7月15日号専門医機構の19基本診療領域の専門医は広告可能に

専門医機構の19基本診療領域の専門医は広告可能に

専門医機構の19基本診療領域の専門医は広告可能に

【厚労省・医療情報提供内容等あり方検討会】サブスぺの広告の是非は見送り

 厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(尾形裕也座長)は6月24日、日本専門医機構(以下、機構)が認定する19の基本診療領域を取得する医師が、医療法で認める資格として専門医を広告できるとする方向で議論することを了承した。実施は秋を予定し、広告できる専門医名など詳細は今後整理する。一方、日本専門医機構が認定するサブスペシャルティの専門医については、機構での議論が煮詰まっておらず、当面見送る。
 2013年の「専門医の在り方に関する検討会」(髙久文麿座長)の報告書では、第三者機関が認定する新たな専門医制度を創設し、医師の専門性に関する資格名等として、広告を可能とすべきとの意見が盛り込まれた。2018年度には日本専門医機構が運営する新たな専門医制度が開始され、3年が経った。
 今年度は、第1期の19の基本診療領域の研修が終了し、専門医の認定が行われる段階にある。厚労省は、これらの状況を踏まえ、19の基本診療領域については、「広告への対応」が必要であると提案した。一方、サブスペシャルティ領域については、まだ、機構認定の専門領域が決まっておらず、「詳細が整理されていない状況」であるため、詳細の整理を待って、検討するとの考えを示した。
 また、すでに広告可能となっている学会等が認定する資格名の広告の取扱いは、「会員数が千人以上」など現行の外形的な基準のあり方を含め、広告できる範囲や期間を検討するとの課題を示した。なお、現在56種類の専門医が広告可能となっている。歯科医師は5種類、薬剤師は1種類、看護医は27種類で合計89種類。
 19の基本診療領域の専門医認定を広告可能とすることに、委員から概ね異論はなかった。ただ、総合診療専門医については、他の基本診療領域と異なり、実績が不足しているとの指摘があった。
 また、現状の専門医等の広告制度の問題として、各職種で広告できる専門性の意味合いが異なることや、他の法令との整合性など現行の基準の曖昧さを指摘する意見が出た。
 日本医療法人協会副会長の小森直之委員は、「例えば、19の基本診療領域のうち、総合診療専門医の名称では、診療報酬の請求ができない。また、広告可能な専門医が、医療機関が標榜できる診療科とも一致していない」と指摘。これに対し、厚労省の担当者は、広告できる専門医と標榜できる診療科、診療報酬の請求で求められる専門医などの整合性が取れていない現状を説明するとともに、標榜できる診療科の議論をする場合には、医道審議会の意見を聴く必要があるとした。

広告規制違反のHPの状況を報告
 医療機関などの不正・不適切なホームページ(HP)を見つけ出し、改善するためのネットパトロール事業の報告があった。広告規制違反が明らかになり、ネットパトロール事業により、注意喚起を受けたにもかかわらず、改善に至らず、自治体に報告されても、「継続対応中」となっている案件が、2018年度分で16件あることに「問題」との発言が委員から相次いだ。
 2018年度分の案件は80件であるため、2割が「継続対応中」ということになる。佐賀県医療センター好生館理事長の桐野高明理事長は、「16件が2年間も放置されている。放置しても健康被害は生じないと厚労省は判断しているのか」と質問した。厚労省の担当者は、「法の趣旨に則って対応する」と述べるにとどめつつ、状況を確認すると回答した。健康保険組合連合会の幸野庄司委員は、「罰則があるのに適用されないのであれば、不正事例が繰り返されるのではないか」と懸念を示した。
 また、国民や関係者に違反例をわかりやすく紹介するための医療広告違反事例の解説書案が示された。広告が禁止・不適切な事例などを、図入りでわかりやすく説明している。

医療の質向上事業の現況を報告
 全日病も参加している「医療の質向上のための体制整備事業」の現況を、日本医療機能評価機構の亀田俊忠理事が説明した。「医療の質向上のための協議会」として、今年3月に中間まとめを行っており、「指標を用いた測定」、「測定結果を基にした改善活動」、「ベンチマーク評価」、「公表のあり方」の4つの論点で議論を進めていることが報告された。

 

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