全日病ニュース

救急外来での救急救命士活用へ委員会の構成を了承

【救急・災害医療検討会】「救急救命処置を指示する医師」をメンバーに

　厚生労働省の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会（遠藤久夫座長）は７月16日、改正救急救命士法の10月の施行に向けて、医療機関内に設置する「救急救命士による救急救命処置の実施に関する委員会」と院内研修の大枠を了承した。厚労省は近く省令案を公表し、パブリックコメントを募集したうえで、９月上旬に公布する予定だ。
　５月に成立した改正救急救命士法により、10月から救急救命士が医療機関内の救急外来でも救急救命処置を実施できるようになる。医療機関に雇用され、救急救命処置を実施する救急救命士の資質と業務の質を担保するため、前回の検討会では、①救急外来で救急救命士を活用する医療機関には「救急救命士による救急救命処置の実施に関する委員会」を設置する②医療機関は救急救命士に研修を実施する―の２つの方向を決めた。今回、①②のより具体的な規定を議論した。
　医療機関が設置する委員会について、前回の議論では「メディカルコントロール（MC）を理解した医師または看護師をメンバーにすることを必須とすべき」との意見があり、全日病常任理事の猪口正孝委員が反対していた。
　16日の検討会では、厚労省が「委員構成を含めた委員会運営に関する事項については、医療機関ごとに実情を踏まえて検討することが基本」とした上で、必須とする委員会の構成員を「救急救命処置を指示する医師、医療安全管理委員会の委員、その他の当該委員会の目的を達するために必要な委員（救急外来に従事する看護師など）」と提案し、了承された。MCを知る医師は、必須の構成員とはならなかった。
　委員会では、あらかじめ救急救命処置に関する規定を定める。この規定において、救急救命処置を指示する医師も定めておく。
　なお、厚労省の規定のほかに、「望ましい内容」が日本救急医学会・日本臨床救急医学会によるガイドラインとして示される。
　同日の検討会では、ガイドライン案が示された。日本医師会常任理事の長島公之委員は、ガイドライン案に対して医療関係団体が意見を伝える機会を設けるよう要望した。
　院内研修については、医療安全・感染対策・チーム医療などの研修項目案が示され、了承された。院内委員会がこれらの項目について、学会のガイドラインも参考にしつつ、研修内容を定めることになる。