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ホーム全日病ニュース(2021年)第992回/2021年8月15日号医療資源重点外来の基本的な考え方示す

医療資源重点外来の基本的な考え方示す

医療資源重点外来の基本的な考え方示す

【外来機能報告WG】昨年の報告のとおり3分類

 厚生労働省は7月28日の「外来機能報告等に関するワーキンググループ(WG)」(尾形裕也座長)に、来年度に施行する外来機能報告制度の報告項目案と、報告により位置づけられる「医療資源を重点的に活用する外来」(以下、医療資源重点外来)の基本的な考え方を示した。
 医療資源重点外来の基本的な考え方は、昨年12月に「医療計画の見直し等に関する検討会」がまとめた「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関する報告書」に沿った内容となっている。具体的には、①入院前後の外来②高額等の医療機器・設備を必要とする外来③特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)の3分類が対象となる。
 医療資源の量は、診療報酬の点数で測られるため、診療報酬の算定状況により、3分類の該当割合をみる。例えば、① では、◇ 手術◇ 処置のうちDPC入院で出来高算定されるもの(1千点以上のもの)◇麻酔などがある。②では、◇外来化学療法加算◇外来放射線治療加算などがん外来治療や、検査・画像診断・処置のうち地域医療包括診療料で包括範囲外(550点以上)の点数などが対象だ。
 ただ、①ではDPC入院で1千点以上の処置、②では地域医療包括診療料の包括外(550点以上)であるため、整合性を図るため、「1千点に統一すべき」との意見が出た。
 ③は、診療情報提供料Ⅰを算定した30日以内に、別の医療機関を受診した場合、当該「別の医療機関の外来」。◇ウイルス疾患指導料◇難病外来指導管理料の算定は、昨年の議論で除外されたが、復活を求める意見もあった。
 ②に含まれると想定される人工腎臓を算定する透析の外来については、賛否両論があった。透析を多く実施している病院・有床診療所が、医療資源重点外来に位置づけられる可能性があり、警戒感が示された。ただ、一般外来が全体で多ければ、医療資源重点外来には該当しないと考えられる。
 外来機能報告項目については、医療資源重点外来を抽出するための項目と、地域の協議の場に資するものに分かれる。あわせて、医療資源重点外来を担う医療機関となる「意向の有無」をきく。救急医療の実施状況も別途把握する。高額医薬品を使う外来は、今回は報告の対象に含まない方向だ。
 また、外来機能報告は病床機能報告と一体的に実施する。このため、スケジュールも合わせることになる。
 これらの提案を踏まえ、全日病副会長の織田正道委員は、「透析を含めて、病院は専門外来と一般外来の両方を行っている」と指摘。このため、医療資源重点外来を担う病院は、外来機能報告制度による報告内容から、自動的に指定されるものではなく、「病院の意向をきくことが前提」と釘をさした。
 また、外来機能報告と病床機能報告を一体的に行うことの意義を強調した。病院の機能が全体として把握されることになるので、入院と外来の整合性のある情報が収集されるべきと述べた。
 さらに、「病院の機能の中心は入院であり、外来・入院・在宅医療とつながる。かかりつけ医機能の議論も別に行うとのことであるし、この会議の当面の議論が医療資源重点外来に特化したものになるのは仕方ないとしても、それらを念頭に置かないと、本来の外来機能を把握することはできないことに留意してほしい」と要請した。

 

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