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ホーム全日病ニュース(2021年)第992回/2021年8月15日号コロナ補助金や診療報酬特例の10月以降の継続求める

コロナ補助金や診療報酬特例の10月以降の継続求める

コロナ補助金や診療報酬特例の10月以降の継続求める

【四病協・総合部会】新型コロナ限定の対応含め税制改正要望もまとめる

 四病院団体協議会は7月21日に総合部会を開き、9月末までが措置期限となっている新型コロナ対策の補助金や診療報酬の特例について、10月以降の継続を政府に要請することを決議した。また、2022年度税制改正要望と新型コロナ対応に限った緊急税制改正要望の内容を了承した。
 新型コロナ対策の補助金については、基本的に財政措置が9月30日までとなっている。このため、10月以降も新型コロナ対策を継続して実施できるよう、適切な財政措置を政府に求めた。一方、診療報酬の特例である「外来における小児診療等に係る評価」と「各医療機関等における感染症対策における評価」は、規模縮小を含め、基本的に9月末までとなっている。両者については、10月以降も延長することを主張した。
 「外来における小児診療等に係る評価」は、6歳未満の乳幼児への感染予防策を実施した外来診療等で、医科は100点、歯科は55点、調剤は12点を加算できるという特例である。10月以降については、「年度末まで規模を縮小した措置を講じることを基本の想定としつつ、単純延長することを含め、柔軟に対応する」ことが、昨年12月の麻生太郎財務大臣と田村憲久厚生労働大臣との折衝で決まっていた。
 「各医療機関等における感染症対策における評価」は、すべての患者の診療等に対する感染症対策の評価が必要との観点で、初再診(医科・歯科)は5点、入院は10点、調剤は4点、訪問看護は50円を算定できるというもの。10月以降については、「延長しないことを基本の想定としつつ、年度前半の措置を単純延長することを含め、柔軟に対応する」との取扱いとなっている。

総合診療医や病院薬剤師を議論
 同日の総合部会では、総合診療医の育成や病院薬剤師の不足に関して、多くの意見が交わされた。
 総合部会終了後の会見で、日本医療法人協会会長の加納繁照議長は、総合診療医について、「病院団体として独自の総合医養成の事業を実施している。しかし、総合診療医のあり方に関しては、さまざまな意見があり、もう一度議論し直す必要があると感じている。日本専門医機構の基本診療領域における総合診療専門医のカリキュラムに問題があるとの指摘がある。さらに、総合診療医がどれだけ普及するかが、医師需給を考える上で、医師をどれだけ増やす必要があるかの議論にも関係する」と、課題山積の状況を語った。
 病院薬剤師の不足については、厚労省の「薬剤師の養成及び質向上等に関する検討会」の報告書に、薬剤師の病院における実務実習に関する文言が盛り込まれたことを「一歩前進」と評価した。

医療の消費税の課税化を主張
 税制改正要望は2本立てとなっている。新型コロナ対策に関連する要望としては、4項目をあげた。コロナ禍において、医療機関の経営破綻を防ぎ、医療体制を確保・維持するための支援措置を盛り込んでいる。
 「税金等の納付猶予期間の延長」では、新型コロナの影響により、税金等を一時に納付できない場合は、原則として、1年以内の期間に限り、税金や社会保険料の納付の猶予が認められるが、この猶予期間を1年以上とすることを求めた。
 「欠損金の取扱いの拡充」では、欠損金の繰戻還付制度の適用対象法人の制限を撤廃し、すべての法人が当該制度を利用できるようにすること、遡って法人税等の還付請求ができる期間を5年程度に大幅に拡大(地方税も同様)することを求めた。欠損金の繰越期間の延長も要望した。
 「感染対策のための設備投資等の支出への税制上の支援措置」では、新型コロナ対策の設備投資等で、「即時償却または税額控除、償却資産税の全額減免、消費税相当額の補助等の税制上の優遇を図ること」を主張した。
 「医療機関を運営する財団法人の純資産額による解散措置の緩和」では、医療機関を運営する財団法人が、純資産額の規定により、即座に解散となる法の運用について、5年程度の猶予期間を設定することを要望した。
 2022年度税制改正要望としては、14項目を盛り込んだ。多くの項目は、昨年度と同様であり、1番目の項目には、「社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税問題の抜本的な解決」を位置づけた。
 控除対象外消費税問題に対しては、診療報酬の上乗せにより補てんを行う方法を講じている。しかし、画一的補てん方式では、個々の医療機関の仕入税額が考慮されないことから、どれほど補てん方式を精緻化しても、税負担の不公平は解消しない。さらに、消費税引上げや新型コロナ対応のための設備投資の増加などが、病院における補てん不足を深刻化させている。こうしたことから、病院の社会保険診療報酬等に対する消費税は、原則として課税に改め、仕入税額控除を認めることを主張した。

 

全日病ニュース2021年8月15日号 HTML版

 

 

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