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ホーム全日病ニュース(2021年)第993回/2021年9月1日号コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジをテーマに岡山学会

コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジをテーマに岡山学会

コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジをテーマに岡山学会

【第62回全日本病院学会in岡山】感染の急拡大踏まえ完全オンライン方式で開催

 「第62回 全日本病院学会in岡山」が8月21・22日に開催された。新型コロナの感染拡大により、1年延期した上での開催だった。しかし、8月に入り、新型コロナの第5波が到来。8月20日には、岡山県にもまん延防止等重点措置が適用される事態に及び、現地での開催を断念し、初めての全面オンライン形式での開催となった。
 学会長の佐能量雄・全日病岡山県支部長は、「まさに新型コロナと戦う学会となった」と開会式で宣言。学会テーマである「コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジ~」のとおり、コロナ禍で病院が、どのような影響を受けどう対応しているか、コロナ禍が収束しても残る課題である人口減少や高齢化を見据え、中長期的な視点で、病院の進む道をどう考えるかを問う学会となった。
 特に、病院団体の代表者や厚生労働省の迫井正深医政局長が参加するシンポジウムでは、地域包括ケアシステムの要となり、高度急性期の病院などと連携しつつ、一般的な急性期や救急医療を担い、在宅医療を支援する地域密着型の病院が、中小民間病院の目指す姿として描かれた。そのためには、自病院の地域における立ち位置を知り、将来像を明確にすることが求められるとの結論が導かれた。


 開会式では、全日病の猪口雄二会長、佐能量雄学会長、日本医師会の中川俊男会長、厚生労働省の迫井正深医政局長、岡山県医師会の松山正春会長、日本病院会の相澤孝夫会長が挨拶の言葉を述べた。岡山県の伊原木隆太知事、岡山市の大森雅夫市長からも開催を祝うメッセージが送られた。


佐能量雄・岡山学会学会長

 佐能学会長は、「全国各地で新型コロナという災害の最前線で治療に当たっている皆様にエールを送りつつ、この状況下でも参加して頂いた方々に感謝を申し上げる」と述べ、参加者が1,500名を超え、526題の一般演題が集まったことを報告した。その上で、岡山学会の主要なプログラムの概要を説明した。


猪口雄二・全日病会長

 猪口会長は、「全面オンライン開催は初めての試み」と指摘し、今後の大会の糧となる「新たな挑戦」と位置付けた上で、「すべての医療機関が直面する、ウイズコロナ・アフターコロナの医療の方向性や、質の高い医療提供体制の構築に向けた様々な議論が行われると期待している」と述べた。


中川俊男・日本医師会会長

 日医の中川会長は、現下の感染の急拡大を踏まえ、「引続き新型コロナ患者を受け入れる医療を提供できる有事の体制構築に努める」としつつ、日本の皆保険制度について、「世界に誇る制度であり、それにより公平で平等な医療が提供されている」と強調した。その上で、「コロナ禍でも、日本が誇る皆保険制度を変質させてはならない。医療が必要な方すべてに必要な医療を提供する責務がある。新型コロナの医療と一般医療を両立させないといけない」と訴えた。
 新型コロナ患者の入院を制限し、自宅療養を基本とする体制に政府が転換したことには、「入院の必要性を判断するのは国や行政ではなく、患者を診察する医師」と断言した。また、このまま感染者が増え続ければ、「病床も医療人材も確保し続けることはできない。何が何でも感染拡大を抑えることが必要であり、政府に対して対策を求める。日医としても最大限努力する」と述べた。


松山正春・岡山県医師会会長

 岡山県医師会の松山会長は、新型コロナの感染拡大に対し、「災害が発生している状況だが、全国で起きているので、支援を集中させることが難しく、地域の自己完結の体制が求められている」と訴えた。その中で、「岡山県の医療連携はうまくいっている」と述べた。また、患者の受療行動の変化により、診療報酬が減少し、補助金がなくなれば病院経営は成り立たないとの危機感を示した。
 厚労省の迫井医政局長は、「政府として、財政支援や人材確保に引続きしっかりと対応する」との姿勢を示すとともに、改正医療法が成立し、新興感染症への対応が加わる医療計画見直しや地域医療構想の推進、医師の働き方改革、医師確保対策などに取り組むため、医療関係者と「率直に意見を交わしたい」と述べた。


相澤孝夫・日本病院会会長

 日本病院会の相澤孝夫会長は、「新型コロナの感染拡大により、日本の医療提供体制の問題が浮き彫りになった。その解決なしには、人口減少・高齢社会を乗り切れない。新型コロナによりみえた課題への対応を明らかにし、解決することがまず行われるべきだ」と強調した。

 

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