全日病ニュース
2021年度病院機能評価受審支援事業③
福山城西病院への機能評価受審支援 第一報
2021年度病院機能評価受審支援事業③
福山城西病院への機能評価受審支援 第一報
病院機能評価委員会 特別委員 中嶋照夫
コロナ禍により2ヵ月ほど遅延されていた第1回受審支援が、7月12日に漸く現地病院で開催の運びになり、満を持して勇躍現地に赴きました。ところが、当地では、梅雨末期の豪雨に見舞われ、講演の開始と前後して俄かに雨脚が強くなり、窓を打つ凄まじい吹き降りとなるのに時間はかかりませんでした。あげく、恐怖を感じるほど大音響の雷鳴が轟亘り、おまけに瞬間停電にも襲われる始末でした。お集まりいただいた病院幹部の方々も、講演には集中力を削がれてしまったのではないかと、天の配剤に恨めしさが募る思いがしました。
さて、当日の支援プログラムは第1部・第2部でパワーポイントにより「機能評価とは」との導入編の解説をしました。本来この内容は、病院長のキックオフ宣言に合わせて行うべきですが、コロナ禍によりその最適な時期を逸してしまったというのが、本音の感想です。しかし、参集された職員の方々は、窓外の強烈な雨音の妨害にもめげず、真剣に講義に聞き入っていただけたようでした。その後、休憩をはさみ4領域の解説を行いました。内容は、引き続きパワーポイントで一般的な項目解説を企図していましたが、この病院では既に施設基本票をはじめとする病院の概要把握が可能なデータ類、そして全評価項目にわたる自己評価が実施されていたことから、それらの入手済み資料を基に貴重な時間を使って、評価項目ベースで各論的な支援業務を行うことが出来ました。また、最終的には1時間程度をかけて院内巡視も行うことで、病院全体を俯瞰的に把握することが出来たように思います。
なお、提出されたデータの中には、複数の項目で実情と反する内容があったので、それらにつき早々に修正することを求めました。
例えば、年間の手術件数が全麻手術ではなく局麻手術であること、全入院患者には栄養評価がなされ、栄養管理シートが作成されて必要な場合には栄養介入が実施されていること、職員教育注力への課題、診療情報の管理強化等々につき評価項目の求めを解説しながら病院の理解を促しました。
なお、前述した病院からの事前資料には、詳細な注釈を付して病院に指導内容を返送しておいたので、上記に並行してそれらの解説も行いました。また、院内ラウンド時に注射処方箋の書式に関して相談があったので、後日担当アドバイザーの訪問時に結論を出すこととしました。
なお、予定外でしたが翌日も半日訪問し、事務、看護、療法士の方々と、いわばフリートークで各部門での懸念事項をご提示いただき、それに対して評価項目の求めを解説して解決への道筋をご一緒に模索しました。例えば、SUD器材の単回使用の徹底、売店問題(患者の利便性の課題)、職員間の情報共有の方法に関する課題等々につきアドバイスを含め、話し合いを行いました。
さらに、当該病院では、今年度中の電子カルテ・オーダリングシステムの導入・移行を予定しているとの情報をお聞きしました。これにより今年度の病院事業では、機能評価受審準備と診療情報電子化の大事業が同時進行することになり、まさに二兎を追うことに他ならず、職員に過大な負担をかけることになるので、電子化の時期を少し柔軟に検討されることをお勧めしました。
文末になりましたが、病院一丸となって、医療の質改善活動に取り組まれることを祈念いたします。
全日病ニュース2021年9月1日号 HTML版