全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2021年)第993回/2021年9月1日号病院機能評価受審支援事業 第1回訪問を受けて

病院機能評価受審支援事業 第1回訪問を受けて

病院機能評価受審支援事業 第1回訪問を受けて

医療法人社団尚志会福山城西病院 事務長 中谷光宏

 認定病院2,081(2021年6月25日時点)に加わることで、必ず当院のレベルはアップする、間近に迫った2025年、そしてその先にある急激な人口減少・医療需要の低下という医療機関にとって過酷な状況にあっても、必要とされ、生き残ることを許される病院になることを目指していこうと考えて、私たちは病院機能評価を受審することを決意しました。それは許可病床数60床と小さな病院にとっては、「産業革命」ともいえる組織の大変革を意味する重大な方針でした。その方針に対し、誰一人としてそっぽを向いたり否定的な発言をする職員はおらず、皆が前を向き、意気揚々・順風満帆の船出となるはずでした。
 ところが全日本病院協会受審支援事業の初回訪問日は、新型コロナウイルス感染拡大もあり当初の5月から6月へ、当院の都合ですが住民へのコロナワクチン接種を最優先に考え、それに専念するため6月から7月に延期。ようやく7月12日に初回訪問を終えることができました。気付けば3月のキックオフから4ヵ月が経過。その間、私たちの準備がどうであったか――。「コロナ対応のため」を御旗のもとに…ではないのですが、機能評価に向けての準備は壊滅的な状況でした。
 機能評価機構には、受審日を2022年4月で申請しておりますので、残すところ9カ月余りとなり、尻に火どころか相当危ない状況で、全日病の調整担当の方には初回訪問日を発奮の契機とするため、檄を飛ばしてもらいたいとメールにしたため、送らせていただきました。
 いよいよ迎えた初回訪問日、全日本病院協会から事務管理領域担当・中嶋照夫先生にお越しいただき、機能評価の概要についての説明と、その後は事前に全日病へ提出した現況調査票、自己評価調査票についての指摘事項について確認していきました。
 病院機能評価の評価項目は4領域90項目から成っており、1領域は「患者中心の医療の推進」、2及び3領域は「良質な医療の実践」、4領域は「理念達成に向けた組織運営」となっております。現在の評価項目に変更されるまでは、大項目、中項目、小項目の352項目と約4倍あったそうですから、過去に受審した医療機関は相当な負担だったことでしょう。とは言え当院にとっては初めて病院機能評価受審ですから、一つ一つ求められる課題を確認しながら求められるレベルに引き上げなければなりませんし、新たに構築しなければならないものもあります(どの項目も弱点ばかりを突いてきます)。
 中小病院は同様だと思いますが、ウィークポイントとして、まずは機能評価に投下できる人員が少ないこと、文書化が遅れており、規程や手順書等の整備が進んでいないこと、病院運営の面においても目先のことに執着し中長期的な視点が抜け落ちており、人材育成や事業継続など検討してこなかったこと…など溜め息。中嶋先生からは「収益にかかる研修費の割合が低すぎることを見ても人材育成にかける力が希薄であることが分かる。考えを改めるべき」と一喝。当院の言い訳としては、必要な書籍は購入しており、研修に関しては情報発信や受講希望者に対する支援は積極的に行ってきた思いがあったため大変ショックを受けましたが、数字が事実と考えれば言い訳できません。
 中嶋先生から「無から有を生むには相当な労力が必要だが、山頂まで登り切ればすばらしい景色が見えてくる。頑張って乗り越えて欲しい」。まだまだ機能評価へのチャレンジは出発したばかり。課題や問題も見つかるでしょう。流した涙、かいた汗だけ私たちの病院はよい病院となることを信じて、4月まで駆け足で走り抜けたいと思います。

 

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