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ホーム全日病ニュース(2021年)第993回/2021年9月1日号入退院支援や認知症ケア、栄養管理など議論

入退院支援や認知症ケア、栄養管理など議論

入退院支援や認知症ケア、栄養管理など議論

【中医協・入院医療等分科会】調査結果を踏まえ現状分析。次期改定の論点に

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は8月6日、慢性期入院医療や短期滞在手術等基本料などとあわせ、横断的事項として、◇入退院支援◇認知症ケア◇治療早期からの回復に向けた取組み◇栄養管理についても、同分科会で実施した調査結果を踏まえ、議論を行った。2022年度改定での見直しにつながる可能性のある項目について、以下でみていく。
 入退院支援については、最近の診療報酬改定により、入院前や入院早期からの支援の強化や、退院時の地域の関係者との連携の評価を高めている。入院前からの評価では入院時支援加算、入院時は入退院支援加算や地域連携診療計画加算、退院時は退院時共同指導料がある。
 調査により次のような結果が出た。◇急性期一般入院基本料や地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料では、8割以上の施設で入退院支援部門を設置している◇入退院支援加算の届出有無と平均在院日数の関係をみると、急性期一般入院基本料と療養病棟入院基本料において、加算1は、加算2や届出なしと比較して、平均在院日数が短い─。
 認知症ケアについては、質の高い認知症ケアを提供する観点から、2020年度改定で、新たに認知症ケア加算2(14日以内で100点、15日以上で25点)が新設され、「1」と「3」(旧2)の点数も引き上げられた。「1」では、医師・看護師要件を緩和し、「3」(旧2)は、研修を受けた看護師の病棟配置数を「3名以上」に厳格化した。
 調査結果をみると、認知症ケア加算1では、急性期一般入院料や特定機能病院での届出が多く、その他入院料では、認知症ケア加算3の届出が多い。認知症ケア加算1を届け出ていない理由では、「認知症ケアチームを設置することが困難であるため」、「専任の看護師が週16時間以上認知症ケアチームの業務に従事することが困難」が多い。認知症ケア加算2を届け出ていない理由では、「認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師がいないため」などが多いという結果になっている。

早期離床の評価を拡充の方向
 治療早期からの回復に向けた取組みについては、2020年度改定で、早期離床・リハビリテーション加算(1日500点)が新設された。特定集中治療室が算定し、早期離床・リハビリテーションのチームによる総合的な離床の取組みを評価している。調査結果では、特定集中治療室管理料のうち、「1」での算定が56.0%、「2」での算定が78.8%だった。
 一方、ICU、HCU、PICUなどの施設を対象とした調査では、早期リハビリテーションを実施していると回答した割合は72.1%となっており、ICU以外の病棟でも多く行われていることがわかった。
 このため委員から、自立の改善や滞在期間の短縮、早期歩行などを期待し、ICUでの届出とあわせ、他の治療室にも拡大することを求める意見が出た。
 栄養管理については、◇栄養サポートチーム加算◇周術期の栄養管理◇回復期リハビリテーション病棟の栄養管理が論点となった。
 栄養サポートチーム加算は、2010年度改定での導入後、算定病棟を拡大している。今回、栄養サポートチームの介入効果を調べると、一般病棟よりも障害者病棟でBMIや血清Alb値などの栄養状態が改善した割合が高かった。現状で、障害者施設等入院基本料は算定対象外となっている。
 周術期の栄養管理については、術後の経口摂取再開までの日数が短いと、在院日数が有意に短いことや、術後すぐに経口摂取の開始が可能な手術においても、術後の合併症発生率や死亡率が有意に低下することが示された。
 回復期リハビリテーション病棟入院料については、2020年度改定で、「1」で管理栄養士の専任常勤1名の配置が要件化された。管理栄養士を病棟に配置すると、配置されていない病棟と比較し、ADL改善効率が良好であった。

 

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