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ホーム全日病ニュース(2021年)第994回/2021年9月15日号病床・宿泊療養計画が今まさにフル回転

病床・宿泊療養計画が今まさにフル回転

病床・宿泊療養計画が今まさにフル回転

【特別講演1】迫井正深・厚生労働省医政局長

 新型コロナの感染拡大を踏まえた今後の医療提供体制について概観する。その前に、直近の感染状況をみると、第5波が来て、全国的に拡大が広がっている。それ以前の感染状況を諸外国と比べると、日本は人口当たりで非常に感染者数が少ない。死亡者数も圧倒的に少なかった。これは明らかに医療の対応や社会の協力のおかげだと思う。また、ワクチン接種が進むと、諸外国で共通して、感染者や死亡者数のフェーズが変わることがわかる。
 一般的に、感染症発生初期の段階では、従来からある感染症病床が活用され、そこにマンパワーが提供される。感染拡大時になると、感染症病床だけでなく、臨時の医療施設や宿泊療養施設とともに、ゾーニングを展開しながら、一般病床も使うことになる。この場合は、感染症を受け入れる病床を増やすと、一般病床が減ってしまうというトレードオフの関係になる。
 新型コロナの感染拡大では、新型コロナ患者が多くの医療資源を使うようになり、一般病床を新型コロナの病床に転換している。厚生労働省は都道府県に、一般医療と両立できる最大キャパシティの病床を確保することとあわせ、それを超える水準を想定し、一般医療を制限してでも、感染拡大に緊急的に対応できる病床・宿泊療養計画の策定を要請した。
 去年の秋からの都道府県への要請で、ホテルなど療養施設を含め、全国ベースの確保病床数は相当増えた。ただ、その後、数字上の確保病床が実際には受け入れることができなかったり、医療機関の役割分担が不明確であるなどの課題があった。それらを改善し、短期間で感染者が急増する状況に備えるため、4~5月は、計画の練り直しをお願いした。
 これらを改善した計画を都道府県は6月までに作成し、それが、新型コロナがデルタ株により猛威を振るう現在、フル回転している状況である。

医療計画の見直しなどに取り組む
 医政局の当面の課題として医療計画の見直しや地域医療構想、外来機能の明確化、医師の働き方改革などがある。
 医療計画には、新型コロナの感染拡大を踏まえ、新興感染症等を新たな事業に加える。第8次計画での反映になるが、2025年の計画開始まで何もしないということではなく、現に今走りながら新興感染症の拡大期に対応している。次の振興感染症を見据えた平時の対応では、関係機関の連携体制や人材確保策などの検討が重要になる。
 地域医療構想の考え方は、医療機関の設備・人材の確保には時間がかかるため、人口構成の変化を先取りして対応する必要があり、将来需要に合わせ自院の医療機能を吟味してもらうということ。新型コロナが収束するまで動けないという話はわかるが、積極的に取り組む病院もあり、そこは応援する。
 外来機能の明確化は、かかりつけ医機能を担う医療機関と医療資源を多く使う外来が連携する体制を目指し、外来機能報告制度を創設する。かかりつけ医機能については、日医・四病協の定義があり、現在、調査・普及事業を実施している。まだ考え方に幅があるので、全国の好事例を収集し、横展開を図り、提言としてまとめたい。
 医師の働き方改革では、これまで青天井だった労働時間に制限を設ける一方で、医療施設の最適配置や医師の偏在対策と一体的にとらえるべき課題であり、そのような視点から取り組みを進めて戴くことを期待したい。

 

全日病ニュース2021年9月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 2021.2.1 No.979

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210201.pdf

    2021/02/01 ... 感染者が急増して. いる地域で急性期医療を担う病院に対し、新型コロナ患者の受入れを求めるとともに、都道府県からの病床確保の要請に積. 極的に協力するよう求めた。また、新型コロナ感染症からの回復患者の転院について、対応可能な病院は ...

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