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ホーム全日病ニュース(2021年)第995回/2021年10月1日号医師労働時短計画の段階的評価は取りやめ

医師労働時短計画の段階的評価は取りやめ

医師労働時短計画の段階的評価は取りやめ

【厚労省・医師働き方改革検討会】優劣つける方法は病院の納得得られない

 厚生労働省の医師の働き方改革の推進に関する検討会(遠藤久夫座長)は9月15日、医師の時間外労働規制の特例を受ける病院が策定する義務のある医師労働時間短縮計画の評価について、当初案の5段階評価(S、A~D)を取りやめることを決めた。病院に優劣をつけるような方法では、評価項目に対する誤解をもたらし、病院からの納得感も得られないとの指摘を踏まえた。
 医師の長時間労働の短縮の取組みに対しては、新たに設置する医療機関勤務環境評価センターが、全体評価を行った上で、各項目の定量的・定性的な所見を付けることになっている。この全体評価について、5段階の評価を行うことをやめた。厚労省が提示した新たな方法では、3つの項目での評価を明確にし、その組み合わせにより、定型的な文章を作成することで、全体的な評価とする。
 具体的には、まず「労働関係法令及び医療法に規定された事項」を満たしているかを問う。これは法令であるため、満たしていない場合は、評価もできない「評価保留」の状態になる。
 次が、労働管理体制や労働時間短縮に向けた取組みに対する評価であり、評価時点とその後に分けて評価する。取組みを改善する必要があるのか、見直す必要があるのかが判断される。
 最後が、実際に労働時間を短縮できているかの評価となる。具体的には、B水準・連携B水準・C水準が適用されている医師の各水準の平均労働時間数や、最長労働時間数、実際に年間の時間外・休日労働時間数が960時間を超えた医師数などの実績を基本として検討する。
 また、当初案のS評価に相当するような模範となる個別の取組みがある場合には、評価の中で言及する。
 2022年度、2023年度の最初の指定を受ける際の書面評価において、「医療機関の取組みに改善の必要があり、医師労働時間短縮計画案も見直しが必要である」と見込まれる場合は、評価センターは書面のみで評価を決定せず、訪問を行った上で評価を行うことにした。なお、評価センターは、訪問評価の前に、書面で指摘された取組みの見直しについて、医療機関に助言を行うとしている。

評価結果は公表し住民に情報提供
 評価結果は都道府県に通知される。都道府県が引き続き特定労務管理対象機関として、指定更新するかどうかの判断材料となる。医療機関内の労働時間短縮の取組みが進んでいないならば、医療勤務環境改善支援センターなどの支援を受けることが望まれる。取組みは進んでいるが、労働時間の短縮が進まないならば、医師確保に関する支援や地域の医療提供体制の見直しが課題となる。
 都道府県は、評価結果を都道府県ホームページなどで公開する。住民が医療のかかり方を見直すきっかけとなることが期待されるほか、特定労務管理対象機関の指定結果とあわせて公表することで、都道府県が、指定を適切に行っているかの判断材料にもなるとしている。

 

全日病ニュース2021年10月1日号 HTML版

 

 

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