全日病ニュース
事務長・看護部門長研修から代表演題を発表
事務長・看護部門長研修から代表演題を発表
【医療従事者委員会】医療従事者委員会委員長 井上健一郎
医療従事者委員会では、事務長研修、看護部門長研修を行っている。従来は集合研修の形であったが、2020年度は新型コロナ感染症蔓延のため中止となり、2021年度から全面WEB形式で再開している。それぞれ延20日、9日の研修を行い、各人の病院の経営改善をテーマにディスカッションし、最終日には研修のまとめとなる共通課題の解決方法をグループごとに集約して発表をしてもらっている。せっかく計画を立てて実行したのだから、それがどのようにうまくいったのか、あるいはうまくいかなかったのか、うまくいかなかったのであれば、その原因は何か皆で議論しようということでフォローアップ研修会が行われている。
フォローアップ研修では事務、看護でそれぞれ数グループに発表をしてもらうが、事務、看護が混じって発表し、お互いに議論をするという形で開催する。共通する論点もあれば、職種特有の問題もあるが、違う立場でみることでかえってお互いの理解が深まるということで好評であった。
今回の岡山学会では2019年度の研修受講者のうちフォローアップ研修で発表してもらった演題の中から、さらに代表演題ということでそれぞれ1演題ずつをWEB上で発表してもらった。
当日は池上直己教授(慶應義塾大学)、萩原正英氏((一社)経営支援機構代表理事)のコメントをいただきながら活発な質疑応答が行われた。それぞれの部門の発表者からのコメントを記して、当企画の総括としたい。
事務部門:医療法人社団輔仁会 太田川病院 事務長 福田浩二
私が参加した、第18回病院事務長研修では「診療科再編」「患者送迎」「在宅医療」「入退院支援」「戦略的M&A」「理念の浸透」「自立的組織」「医師に選ばれる病院」の8班に分かれて、48名がそれぞれの課題を話し合いました。その1年後、フォローアップ研修という形で、それぞれの班が取り組んだ事を発表したのですが、その中で私たちD 班の「入退院支援」がこの度の学会発表演題に選ばれました。
学会発表が決まった時期には新型コロナウイルスが全国的に蔓延し、県外移動が難しい状況でしたので、開催県の隣県である広島の私が移動リスクも一番少ないと思い、発表することにしました。ところが10日前に、第5波の大きな波に襲われ、完全WEB学会となりました。Zoomでの発表の経験もなく困惑しましたが、事故もなく(自分ではそう思っています)無事に終了しました。研修でご一緒した仲間からもあたたかい言葉をいただきました。今回、班の代表として発表の役をしただけですが、貴重な経験をさせていただきました。D班の皆様ありがとうございました。
看護部門:医療法人誠心会 あさひの丘病院・神奈川病院 深田 徳之
第15回看護部門長研修で、私たちのグループは採用・配置・評価・育成・離職など人材マネジメントの課題について考えました。その中で“人”をマネジメントすることの難しさ、個々の感情が捉えにくいこと、定量化がむずかしいこと、モチベーションの維持など、人間の行動原理にも遡って考えました。
研修での学びを通じて、自施設の問題を少しずつ明らかにしていき、焦点を絞って実際に取り組みを行いました。研修に参加したのち、その成果を発表する場を設けていただいたことで、発表のために取り組んだ内容をまとめることで、何ができていて何ができていないのか振り返りになり、スライドを作るために可視化・数値化したことでどのような効果が出ているのかが具体的に見えてきました。
学会発表をすることで質問やコメントをいただき、自分たちの取り組みを評価していただくことでさらなる学びとなりました。今後もいろんな取り組みを行っていきたいと思います。
全日病ニュース2021年10月1日号 HTML版