全日病ニュース

４～９月の３団体病院経営調査を公表予定

【四病協・総合部会】医療法人の事業報告書等の閲覧のデジタル化に懸念表明

　四病院団体協議会の総合部会が10月27日に開催された。終了後に会見した全日病の猪口雄二会長は、新型コロナ対応の影響をみるための、全日病、日本病院会、日本医療法人協会の３団体による2021年４～９月の病院経営調査を実施する方針を示した。また、厚生労働省の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」で議論されている、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の呼称に対する見解を示した。
　新型コロナの感染拡大を踏まえた３団体の病院経営調査の結果については、2020年４～ 12月の状況を公表している。全体の状況としては、新型コロナの感染拡大により病院経営は悪化したが、特に新型コロナ患者に対応した病院で、国からの緊急包括支援交付金等が病院経営を下支えしていることが示された。
　猪口会長は、財務省の財政制度等審議会に、国立病院機構や地域医療機能推進機構の収支データ分析が示され、緊急包括支援交付金等により、収支が大幅に改善していることが報告されたことを踏まえ、「我々としても、データを示さないといけない」と述べた。ただ、データを整理するのに、少なくとも１カ月程度はかかるとの見通しを示した。
　同日の総合部会では、厚労省から2021年度薬剤師確保のための調査検討事業「薬剤師確保に係る調査」を実施することの報告もあった。調査を実施する上で、なぜ薬剤師が病院に就職せず、ドラッグストアなどの薬局に就職してしまうのかとの観点で、調査結果を分析してほしいとの意向を厚労省に伝えたという。
　11月２日の社会保障審議会・医療部会の議題となった「医療法人の事業報告書等の届出事務・閲覧事務のデジタル化」については、医療法人の事業報告書が安易に入手され、営利企業などに利用されるおそれなど、総合部会でさまざまな懸念が示されたとした。
　猪口会長は、「デジタル化の推進には大いに賛成だが、これまで都道府県がそれぞれの事情により、閲覧の方法について個別対応していたのをすべて自由にしてしまうのは問題ではないか。もう少し検討が必要だ」と述べた。

医療資源重点外来は納得が得られていない
　厚労省の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」での議論についても、さまざまな意見が出たという。特に、いわゆる医療資源重点外来の呼称については、厚労省が呼称案を例示しているが、現時点で病院団体で考えが一致する呼称にふさわしい案は出ていないとした。
　また、外来機能報告制度でデータを収集し、基準に該当する外来が位置付けられる医療資源重点外来と、200床以上の医療資源重点外来に定額負担が新たに義務化される仕組みは、医療資源重点外来を基幹的に担う199床の病院が、定額負担の対象にはならないように、「両者は全然別の話」と指摘した。
　一方、患者にとっては、「紹介状がないと高いお金が取られる外来」ということであり、「複雑な仕組みであり、国民にも医療関係者にも納得が得られているとは思えない。呼称を含めた制度設計について、もう少し時間をかけて議論していくべきだ」と、猪口会長は強調した。