全日病ニュース

年頭の挨拶

公益社団法人　全日本病院協会　会長　猪口雄二

　明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく2022年の新春をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
　昨年6月の定時総会において、会長職に再任をいただきました。引き続き会員の皆様方のご意見を踏まえつつ、公益事業の推進、組織の強化に取り組んでまいりたいと存じます。
　昨年を振りかえりますと、一昨年に続き、新型コロナウイルス感染症への対応を迫られた年でありました。特に昨年夏頃は、全国各地で感染が急拡大し、第５波ともいわれ医療が逼迫する状況となりました。そのような中でも、会員の皆様方をはじめ全国の医療機関の協力のもと、ワクチン接種が順調に進んだこともあり、秋以降は小康状態となり、少しずつ落ち着きを取り戻せているように思います。変異株の発生などもあり油断はできませんが、不測の事態に備えつつ、引き続き気を引き締めて対応してまいりたいと存じます。
　本年は、４月に診療報酬改定が行われるとともに、外来機能報告制度がスタートします。
　今回の診療報酬改定では、医療資源を重点的に活用する外来の明確化を踏まえて、紹介状なしの患者に係る受診時定額負担制度の見直しが行われる予定です。また、昨年11月の経済対策において、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等が明記されたこともあり、補助金での対応とともに、診療報酬上の対応も想定されます。
　医師の働き方改革については、労働時間短縮計画の作成や特例水準医療機関指定に向けた第三者評価などが行われます。その他にも地域医療構想や医師確保計画、その先には新興感染症への対応を新たに加えた第８次医療計画の作成など、医療機関にとって重要な施策が進められます。
　さらに、本年後半には、一定以上の所得がある後期高齢者の窓口負担を２割に引き上げることが予定されています。
　新型コロナ対応で多くの病院が疲弊している中で、いずれの改革も病院経営に大きな影響を及ぼすものですが、全日病としても組織をあげて、日本医師会や他の病院団体と協同し、引き続きこれらの改革に対応していく所存です。
　その他、新型コロナウイルス感染症の収束を願いつつも、コロナに対応する医療現場に対しては十分な支援が引き続き必要です。2020年より日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会3団体で定期的に実施しております病院経営状況調査等を踏まえて対応していきたいと考えております。
　昨年８月には、第62回全日本病院学会in岡山が開催されました。新型コロナの第５波の時期と重なることとなり、全日病学会が始まって以来、初の全面ＷＥＢ開催形式で行われました。当初はハイブリッド形式での開催が企画されており、開催直前にコロナの影響から急遽変更を余儀なくされましたが、岡山県支部長の佐能量雄学会長をはじめ関係者の皆様方のご尽力により、会場での参加と何ら遜色ない、大変素晴らしい学会を開催していただきました。ポストコロナを見据えた新たな形での学会の開催形式を示していただき、改めて心より感謝申し上げます。
　本年は、10月に静岡県支部長である土田博和学会長のもと、第63回全日本病院学会in静岡が浜松市で開催されます。会員の皆様方からの多数のご参加を心よりお願い申し上げます。
　全国の病院数は昨年9月末時点で8,205と年々減少しておりますが、当協会の会員数は、昨年11月現在で2,538を数え、日本で最大の病院団体です。
　ポストコロナの時代を見据えて、健全な病院経営、質の高い医療提供体制を構築するために、執行部一同、そしてすべての会員とともに、一致団結して日本の医療、地域医療を支える病院団体として活動していく所存です。
　本年も、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。