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ホーム全日病ニュース(2022年)第1001回/2022年1月1日・15日合併号「必要度」の項目でシミュレーションを実施

「必要度」の項目でシミュレーションを実施

「必要度」の項目でシミュレーションを実施

【中医協総会】「心電図モニターの管理」の削除の影響が大きい

 厚生労働省は12月17日の中医協総会(小塩隆士会長)に、2022年度診療報酬改定に向け、一般病棟用と治療室用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、必要度)のシミュレーション案を提示した。これまでの中医協の議論を踏まえ、一般病棟用の必要度Ⅰ・Ⅱの評価項目の変更の選択肢が示された。そのうち、A項目の「心電図モニターの管理」を削除した場合の影響が最も大きくなっている。
 現状で基準を満たす患者を100%とすると急性期入院料1~6の必要度Ⅰで18.90%、必要度Ⅱで11.90%の影響がある。この試算を用いて、今後、シミュレーションを実施する。
 これまでの議論で、一般病棟用の必要度については、◇点滴ライン同時3本以上の管理について、薬剤は4種類が最も多いが、同時3本以上を求めていながら、2種類以下の患者がいる。ただ、必要度Ⅱだとコードにより、2種類以下になる場合があることに留意◇心電図モニターの管理については、保有台数など医学的必要性以外の理由で装着を決定する病院もあるとの指摘など、患者の状態を反映する指標となっていない可能性がある◇B項目の「口腔清潔」「衣服の着脱」「食事摂取」には高い正の相関がある◇C項目は2020年度改定での見直しの影響を考慮する─などの意見が出ていた。
 A項目の点滴ライン同時3本以上の管理は、内保連グリーンブックを採用し、ライン数ではなく、点滴薬剤の種類数で区分する案が示された。点滴ライン同時3本以上の管理を削除しても、影響は必要度Ⅱで2.30%であった。
 B項目では、「口腔清潔」「衣服の着脱」「食事摂取」の削除をそれぞれ選択肢とした。C項目は骨の手術について、現状の11日を8~ 10日間への短縮を選択肢とした。
 これらの選択肢を組み合わせて、シミュレーションを実施する。例えば、急性期一般入院料1における各施設の必要度Ⅰ・Ⅱの該当患者割合の変化をみる。なお、現状の急性期一般入院料1の該当患者割合の基準は必要度Ⅰで31%以上、必要度Ⅱで29%以上となっている。
 厚労省の説明を受け、日本医師会常任理事の城守国斗委員は、シミュレーションの実施は容認しつつ、「新型コロナが収束していない状況で、急性期一般入院料の基準を厳しくすることは絶対に避けるべき」と強調した。
 また、救命救急治療室と特定集中治療室のシミュレーションも、同様に実施する。A項目の心電図モニターと輸液ポンプの管理の削除、B項目の削除が選択肢として示された。B項目の削除の影響はゼロ%となっている。このため、支払側からは、B項目の削除を主張する意見が出た。

 

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