全日病ニュース

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不妊治療の保険適用の大枠の考え方を了承

不妊治療の保険適用の大枠の考え方を了承

【中医協総会】ガイドライン推奨度A・Bの医療技術を保険適用

 中医協総会(小塩隆士会長)は12月15日、不妊治療の保険適用に関する大枠の考え方を了承した。生殖医療ガイドラインにおいて推奨度A・Bに該当する医療技術は原則、保険適用の対象とすることを決めた。推奨度Cの医療技術は原則保険適用外だが、医療機関から申請のあったものは、先進医療で実施する方向で審議を進める。
 生殖補助医療では、採卵、採精、体外受精・顕微授精、胚培養、胚移植の各ステップが必須。凍結胚移植を実施する場合は、胚凍結保存も必須となる。各ステップでは、それぞれの段階で「必須となる事項」と「必須とは言えないが、追加的に実施されるもの」がある。
 生殖医療ガイドラインによる推奨度をみると、必須となる医療技術の推奨度はほぼA・Bであり、追加的に実施される医療技術では、A、B、Cが混在する。例えば、タイムプラス(培養器に内蔵したカメラで発育過程を観察)や子宮内膜スクラッチ(着床と免疫応答の促進のため、子宮内膜に傷をつける)などは推奨度Cとなっている。
 医薬品等については、薬事承認を得たものを保険適用とする。現在、ガイドラインで推奨度A・Bの医薬品で、学会からの要望と企業からの申請により、薬事承認の審査を進めている。推奨度Cの医薬品等は、薬事承認とはならず、保険適用外となる見込みだが、そのうち、医療機関から申請のあったものについては、先進医療Bとして実施するための審議を進める。
 一般不妊治療(タイミング法・人工授精)の医療技術、薬事承認を有する医薬品等についても、保険適用とする。
 生殖医療ガイドラインに記載のない医療技術や医薬品等は、原則として保険適用外となるが、医療機関から申請のあったものは、順次、先進医療として実施するための審議を進める。

女性の対象年齢は43歳未満に
 対象患者は「不妊症と診断された特定の男女」と定義。女性の治療開始時点は43歳未満、1子につき6回まで。40歳以上43歳未満の女性は1子につき3回までとする。第三者の卵子または精子を用いた生殖補助医療は、国会で検討が進められていることを踏まえ、現時点では保険適用外とする。
 今後、情報開示を含む実施医療機関の施設基準の要件などが検討される。実施医療機関では、患者の心理的負担の軽減のため、コーディネーターやカウンセラーとの連携が望ましいとされている。これについて、診療側からは、カウンセラーの設置等の要件化には慎重な検討が必要との意見が出た。

 

全日病ニュース2022年1月1日・15日合併号 HTML版